吉野家「468円」、すき家、松屋「400円」…物価高なのに「牛丼並盛」はなぜ値上げしない? 専門家が指摘する「ラーメン業界との違い」

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外国人観光客と牛丼

 先にラーメン業界では値上げの動きがあることを紹介したが、大手チェーン店の状況を見ると、牛丼大手3社とそう変わらないケースもあるという。

「日高屋は『中華そば、餃子、生ビールの3品で1000円を超えない』ことを大切にしています。諸物価の高騰から値上げした商品もありましたが、中華そばは390円、餃子は270円、ビールの生ジョッキが340円で、ちょうど1000円を守りました。特に中華そばは値段を据え置いています。1杯1000円を超えるような価格のラーメンは、個人店が主流だということがよく分かります」(同・千葉氏)

 外国人観光客の懐具合も、牛丼業界から浮かび上がると話題になっている。ネット上では「吉野家の外国人観光客向けのメニュー」の写真が拡散しているのだ。

「SNSで話題となり、複数のネットメディアが記事を配信しました。日本語に加え、英語、中国語、韓国語で書かれたメニューは、鰻重や唐揚げといった単価の高い商品を中心に4種類の定食がお勧めされており、価格帯は最高で2338円、最低でも1837円です。とはいえ、アメリカなどインフレが進んでいる国から来た観光客にとっては、円安も手伝って、2000円台でもリーズナブルに感じるのかもしれません」(前出の記者)

 もちろん、牛丼大手3社も手をこまねいているわけではない。定食などのメニューを増やし、季節限定の商品で話題を集め、少しでも客単価を上げようと努力を重ねている。

「さすが吉野家だと感心したのは、今年の夏に季節限定の冷汁を販売して成功を収めたことです。単品だと217円、牛丼とのセットは665円と、客単価を上手に引き上げました。インフレ下でも牛丼は値上げしないことから、牛丼大手3社は日本経済が抱える問題を象徴しているかのように論じる人さえいます。しかし、現状、3社の売上は概ね好調で、経営方針の正しさが証明されていると言えるのではないでしょうか」(前出の千葉氏)

デイリー新潮編集部

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