「利益率が9割以上のことも」 裏金、虚偽記載が横行する「政治資金パーティー」の闇に迫る
ブラックボックス化
要はバックしてもらうというわけだが、
「ここで問題となるのは、その方法。派閥の口座に直接購入額が振り込まれる場合、ノルマを超えた分を各派から議員に渡し、派閥から各議員の政治団体への寄付という名目にして、きちんと報告書に記載すれば適法なのですが……」
二つ目のパターンの、議員事務所の口座に一旦振り込みをしてもらう手法だとややこしくなる。
「この場合も、議員が収入全額を派閥に納めた上で、派閥がノルマ超過分を戻して、報告書にきちんと書けば適法。しかし、議員がノルマ分のみを派閥に入金し、超過分は“自分の分”としてそのまま手元に残しているケースも少なくない。この場合はそもそも金の流れが発生していませんから、報告書にも記載のない、いわゆる“裏金”になるのです」
議員によってはこうして作った裏金を、公にはできない使途のために用いているという。派閥のパー券への捜査をきっかけにこうした問題が明るみに出て、そこへと司直の手が伸びれば、ピンチとなる議員は少なからずいるかもしれない。実際、ある派閥では今回の報道後、ノルマ超過分の金を派閥に戻せとの指令があり、対象となる事務所は慌てて現金をかき集めたそうだ。
「あるいは、議員の事務所によっては、実際には売れた派閥のパー券を売れなかったことにし、その代金を懐に入れているなんて悪質な例も。いい加減な処理をしているから、パー券収入そのものがブラックボックスと化しているのです」
政治資金の抜け道
各派のパーティーの収入は毎年1億~3億円弱にも上る。
それだけ巨額な金が動くにもかかわらず、滅茶苦茶な処理を行い、巨大な闇が生まれている。今回の告発でいよいよそこにメスが入る可能性が出ているのだ。
「そもそも政治資金パーティーのシステムが、本来の趣旨とは遠くかけ離れたものになってしまっているのです」
と指摘するのは、これまた別の自民党関係者である。
特定の対象との癒着を防ぐため、1990年代からの政治改革で、企業や団体から政治団体への献金は禁止され、政党や政党支部などが受け皿となることになった。透明化が図られたが、
「パー券を購入してもパーティーには参加しない企業や団体が少なくない。また、議員も利益を多く出すために、パーティーの経費を抑えるようになった。利益率が9割以上なんてパーティーも頻発しています」
こうなるとパー券購入は事実上、寄付に限りなく近づいてしまう。禁じられたはずの政治団体への企業、団体献金がいつの間にか復活しているわけである。
「また、国会議員は、寄付なら5万円超受けると報告書に名前と金額を記さなければいけない。しかし、パー券なら20万円を超える場合ですから、透明度は低い。政治資金パーティーが、政治資金集めの“抜け道”とでもいうべきルートに変質してしまっているのです」
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