「利益率が9割以上のことも」 裏金、虚偽記載が横行する「政治資金パーティー」の闇に迫る

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不記載が発生する理由

 なぜこの件、かくも問題視されるのか。

「実は、パーティー券を誰がいくら買ったのか、各派閥がその正確なところを把握していないためです」

 と声を潜めるのは、さる自民党関係者である。

 なぜか。

「派閥のパー券は、どこも所属議員にノルマが割り振られ、各議員が営業して売りさばいていくシステム。ノルマは当選回数や大臣経験などのランクによって決まり、幹部クラスだと500枚以上。パー券は通例1枚2万円ですから、1千万円以上のノルマを割り当てられる例もあります」

 各議員には、まずナンバーが振られたパーティー券が配られるという。

「議員は必死で売り込みをかけ、後援者や団体に購入してもらう。代金の振り込み先は2パターンに分かれます。ひとつは派閥が作ったパーティー専用の口座に直接振り込んでもらう方法。購入者は代金を振り込む際、パー券のナンバーと自分の名前を記入する。そのナンバーにより、どの議員に割り振られた券への入金か、派閥の担当者は把握できる仕組みです」

 問題はここからで、

「パー券を大口で買ってくれる“お得意様”の数は限られていますから、必然的に複数の議員が同じ団体などに売り込みをかける。そのため、同一の購入者が、ある議員の券を10万円分、別の議員の券を10万円分、さらに別の議員の券を10万円分などと複数回に分けて振り込むケースが出てきます。合計すると30万円となり、派閥の収支報告書に記載義務が生じます。しかし派閥の担当者にしてみれば、バラバラに10万円分が振り込まれるので、よほど大きな団体でなければ、合計で20万円を超えて報告義務が生じても気が付かない」

 こうして不記載が発生するわけだ。

裏金が発生するケースも

「より不透明なのは二つ目のパターンです」

 と関係者が続ける。

「購入者に派閥の専用口座に直接振り込んでもらうのではなく、個々の議員事務所の口座に振り込んでもらう。その上で各議員から販売収入を派閥の口座に振り込ませるのです。その際、誰がパー券を買ったかは議員の申告に基づきますが、それを議員が正直に報告するかどうかは微妙なところで……」

 なぜか。

「議員には、自分のお得意様を外に漏らしたくないという心理が働くのです。情報が外に出れば、他の議員に横取りされる可能性が出てきますからね。スポンサーが誰なのかが明かされることは死活問題になるので、たとえ派閥に対してであってもウヤムヤにしたい」

 こうした事情から、やはり派閥は正確な購入者の把握が難しく、不記載はどんどん増えていく――というからくりである。

 言うまでもなく、政治資金規正法の趣旨は、政治に関する金の動きを透明化すること。このずさんで不明朗極まりない処理の仕方は明らかにそれに反するが、話はこれにとどまらない。

「その処理の過程で“裏金”が発生するケースも少なくありません」

 と、これまた声を潜めるのは別の自民党関係者である。

 どういうことか。

「議員がノルマを超える額のパー券を売った場合、超過部分については、各議員の収入とする慣習があります。そうしないと、パー券を売り込むインセンティブが働きませんからね」

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