「利益率が9割以上のことも」 裏金、虚偽記載が横行する「政治資金パーティー」の闇に迫る

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「手口が共有されていた可能性がある」

「不正に気付いた発端は、昨年11月の『しんぶん赤旗』報道でした」

 と語気鋭く説明するのは、告発を行った神戸学院大の上脇博之(ひろし)教授(65)である。

「その記事によれば、不記載となっていたのは20年までの3年間で59件、計2422万円分となっていました。これだけ大規模な不記載は前代未聞ですので、私も独自に調査してみました」

「赤旗」は、総務省や東京都、大阪府の両選挙管理委員会に提出された政治団体の収支報告書をチェックし、それを派閥の収支報告書と対照して不記載の額をはじき出した。

 上脇教授は全国に広げて政治団体の報告書を片っ端からチェック。すると、やはり自民党派閥のパーティー券を、20万円を超えて購入したとの記載が「支出」欄にある団体が数多く見つかった。

「一方で、該当派閥の収支報告書を見ると『収入』欄にその政治団体から購入されたとの記載がない例が多数見つかりました。21年分も含めて集計してみると、先の赤旗の報道よりも額がかなり多いことがわかったのです」

 前述のように不記載の総額は3942万円。そのうち約半分の1946万円を安倍派が占める。以下、金額順に並べると、二階派(754万円)、茂木派(620万円)、麻生派(410万円)、岸田派(212万円)となるのだ。

「複数の派閥の政治団体で発覚したということは、単純ミスではなく意図的で、その手口が共有されていた可能性がある。極めて悪質なので、1年間かけ、それぞれの派閥毎に刑事告発していったという次第です」

 しかもこれは氷山の一角に過ぎないという。

「購入した側が政治団体であれば、収支報告書を提出する義務があるため、その支出欄を見れば購入の事実がわかる。しかし、もちろんパーティー券を買うのは政治団体だけではなく、個人や企業も含まれます。こちらには報告義務がないため調べようがありません。個人や企業を合わせれば、不正の総額はずっと増えることと思われます」

悪夢のコンビの再来

 自民党とパーティー券絡みの不祥事といえば、薗浦健太郎・前代議士の事件が思い浮かぶ。自らのパーティー券の収入を収支報告書に4千万円以上過少申告していたことが発覚し、昨年12月に議員辞職。略式起訴され、罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を受けた。

 ちなみにこの件も最初に暴いたのは「しんぶん赤旗」、そして刑事告発したのは上脇教授。自民党にとっては悪夢のコンビの再来だが、

「今回の件は、既に政局に発展しています」

 とは、前出の青山氏。

 今月9日、岸田首相は衆議院の解散を年内には行わないことを表明した。

「総理はこれほど内閣支持率が低迷する中でも『クリスマス選挙』を含め、ギリギリまで年内解散を模索していた。その理由の一つは、来年になればこの件の捜査が進み、さまざまな報道が出てくる。一議員のスキャンダルではなく、派閥という、自民党の組織的問題になると国民の不信感はより強まる可能性がある。だからその前に……というものでした」

次ページ:不記載が発生する理由

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