市民ボランティアはゼレンスキーも政府も全く信用していなかった…食糧不足について、彼らが明かした原因とは【ウクライナ最前線レポート】
残った町民の「命綱」は地下シェルター
では、避難できずに居残っている人はどんな暮らしをしているのか。地下に住む人がいると聞き、訪ねてみた。
そこは集合住宅の地下室で、破壊された上の階に住む高齢者8人が共同生活を送っていた。その1人アウグスチナさんは「戦争が始まってから夫が心臓まひで死んで一人暮らしになったところに、住んでいた集合住宅の部屋がミサイル攻撃で破壊されたのでここに来ました。地下に住んでもう1年になります」と言う。
太陽電池で電灯をつけ、ボランティアから寄贈されたストーブで冬に備えている。食糧や生活必需品は月に一度行政から配布されるが、足りないところはボランティア団体の支援に頼っているという。ピクルスなど保存用の漬物を入れた瓶を見せながら、「勝利するまでの辛抱ですよ」と気丈に言うアウグスチナさん。ただ戦争が長引いているのが心配だという。
残った人々のために半年前に開設されたのが、地下シェルターだ。町で唯一発電・暖房設備をもち、シャワー、ランドリー、理容室など住民サービスを提供する。また、食糧や日用品を無料で配給するなど町民の「命綱」となっている。テレビを見ながら雑談してくつろぐ人々の姿もあった。ある男性の高齢者は、週に2~3回、スマホを充電するついでに来てリフレッシュしていると語る。ここは憩いの場にもなっているようだ。
シェルターの責任者から厳しく注意されたのが、外の風景を撮影しないこと。住民生活の中心になっている地下シェルターは、場所を特定されるとロシア軍からの攻撃にさらされる可能性があるという。実際、近くのオリヒウ市では8月に地下シェルターがミサイル攻撃を受け、完全に破壊されていた。
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