「先生が好きになりました」 映画「続・人間革命」で池田大作を演じたあおい輝彦 「犬神家の一族」を抑え、76年邦画配収1位に輝いたウラ事情

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 創価学会の池田大作名誉会長が老衰のため死去した(享年95)。毀誉褒貶が渦巻く人生だったが、3代会長として学会を巨大宗教団体にしたカリスマ性には異論はないだろう。その宣伝として使われたのが、1973年公開の映画「人間革命」と76年公開の「続・人間革命」である。

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 映画の原作となった「人間革命」は創価学会の歴史と2代目会長・戸田城聖(1900~1958)の生涯を描いた長編小説で、1965年から学会の機関紙・聖教新聞で連載された。著者は池田氏とされているが諸説ある。

 73年に公開された「人間革命」のキャストの豪勢さには今見ても唖然とする。主演の2代会長・戸田城聖に丹波哲郎、その妻に新珠三千代。初代会長の牧口常三郎(1871~1944)に芦田伸介、日蓮(1222~1282)に仲代達矢。そのほか、渡哲也、名古屋章、森次晃嗣、黒沢年雄……。

 監督は石原裕次郎の主演作品や「二百三高地」「大日本帝国」などの大作で知られる舛田利雄。脚本は黒澤明の「七人の侍」、岡本喜八の「日本のいちばん長い日」、森谷司郎ほかの「日本沈没」などで知られる橋本忍とこちらも豪華だった。

 東宝と学会系のシナノ企画の共同製作で、73年の観客動員数で第2位を獲得し、配給収入は11億9000万円に及んだ。ちなみに1位は「日本沈没」で、配収は28億2000万円だった。もっとも、年間2位になるほどヒットしたという記憶がない方のほうが多いのではないか。

 元学会員のジャーナリスト・乙骨正生氏は言う。

「映画を見たのはほとんどが学会員でしたから、一般には公開されていたことも知らない人だっていたでしょう。1969年に藤原弘達さんが学会を非難した『創価学会を斬る』が出版され、いわゆる言論出版妨害事件が表面化、翌70年には池田会長が謝罪に追い込まれました。その影響もあり、学会はイメージアップに必死だったのでしょう。学会員に映画を見るように勧めたし、なにより“折伏に使え”と言っていました」

「折伏」とは自己の誤りを悟らせるという仏教用語だが、創価学会では他の信仰から改宗させて信者にすることを指す。

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