大谷翔平はどこへ? 本人はもちろん代理人も“貝”になって、ますます激しくなる条件闘争

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代理人、GMは何を思う?

 大谷の代理人、ネズ・バレロ氏(60)もここに来てコメントを出さなくなってしまった。実は9月に、“ウッカリ発言”があった。

 大谷の右肘の靭帯損傷が判明したのは、8月23日のレッズ戦後だった。違和感を訴え、2回途中で先発マウンドを下りたが、大谷は同3日のマリナーズ戦で右手中指がつり、4イニング目の登板終了後に自ら交代を申し出ている。その流れを指して、エンゼルスのペリー・ミナシアンGM(43)が、「球団がMRI検査を提案したが、選手側に拒否された」と発言。この時の「選手側」発言には、大谷はもちろん、バレロ氏も含まれている。

 バレロ氏はエンゼル・スタジアムを訪れた9月4日、記者団に囲まれ、ミナシアンGMの「選手側に拒否された」発言の真意について問われ、右手中指がつったマリナーズ戦をさして、こう言った。

「ショウヘイは登板後も盗塁し、同点ホームランを打った。大丈夫だった。肘や肩に問題はなかった」

 この発言が軽率だった。「もっと慎重になっていればよかったのでは」と、記者団は繰り返しバレロ氏を追求した。

「8月9日のジャイアンツ戦で、大谷は6回、97球を投げています。バレロ氏はそのことも挙げて、検査をしなかった選択の正当性を訴えていました。大谷とエンゼルスの関係悪化説を懸命に否定していたミナシアンGMも悪気があっての発言ではないと思います。選手側の検査拒否が明るみに出なかったら、エンゼルスの医療スタッフがバッシングされていました」(前出・同)

 以後、バレロ氏もコメントを出さなくなってしまった。

「エンゼルスは大谷にクオリファイング・オファー(以下=QO)を出しましたが、11月6日午後5時に独占交渉期間の終了を迎えました。QOはFAになった選手に対し、元の所属球団が1年契約でのオファーをできる制度。年俸額はその年のMLBの上位125人の平均年俸額です。今季、3000万ドル(約40億円)だった大谷が、QOの2032万5000ドル(約30億5000万円)を受け入れるはずがなく、全30球団との交渉解禁となるのは避けられませんでした」(前出・同)

 6日、エンゼルスはGM会議に備え、開催地のスコッツデールのホテルでトップ会談も行っていた。オーナーのアルトゥーロ・モレノ氏や球団社長のジョン・カルピーノ氏も同席したが、会議は2時間以上に及んだという。この時点では新監督人事も抱えていたが、最優先事項は大谷の慰留交渉であり、

「午後からGM会議が始まるのに、その日の午前中に長時間の会議とは」

 と、ミナシアンGMに同情する声も聞かれたそうだ。

「穿った見方かもしれませんが、大谷と代理人が『貝になったこと』でかえって条件が釣り上がったのではという見方をする人もいます。とにかく各球団、最大限の誠意を見せなければ相手にしてもらえないということでしょう」(前出・米国人ライター)

 QOと言えば、“本命ドジャース”が今季3番を務めた指名打者のJD・マルティネス(36)にそれを提示しなかった。JD・マルティネスは33本塁打、通算315発を放った大砲だ。QOを拒否してから再交渉して元の鞘に収まるケースも少なくない。QOは「慰留交渉をしますよ」のシグナルとも言えるが、地元紙のロサンゼルス・タイムズ、米スポーツ局ESPN、MLBネットワークなどは「指名打者を空けたのは、大谷獲得の布石」と報じている。

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