クマの駆除に「お前も死んでしまえ」と抗議電話する人々の正体…闇バイトに応募する者との共通点も

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対応マニュアルの必要性

 それにしても、「歪んだ正義感」で暴言をまくし立てる抗議電話に対応しなければならないのだから、自治体や関係団体の職員は大変だ。

 佐竹敬久・秋田県知事は10月23日の定例会見で、抗議電話について「すぐ切ります。ガチャン」「これに付き合っていると仕事ができない。これ業務妨害です」との見解を示した。

 県のトップが強い態度を示したことに安堵した職員もいただろうが、実際の現場では電話を切るのもなかなか難しいという。

「民間企業は資金を持っています。代表電話を廃止し、チャットボットなどの自動応答システムなどを導入して社員の安全を守ろうとしています。しかし地方自治体は資金が潤沢ではありませんし、地域住民の電話に耳を傾けなければならない時も多いでしょう。そこで必要なのが啓発活動です。札幌市役所のようにカスハラ防止を訴えるポスターを掲示するのは効果が期待できます。さらに部署内部で対応マニュアルを作り、『この一線を越えたら電話を切る』とルール化することも必要です」(同・桐生氏)

カスハラの未来

 自治体も徐々に対策を講じていくのだろうが、今後も日本ではカスハラの嵐が吹き荒れるのかと思うと、暗澹たる気持ちになってしまう。だが、桐生氏は将来を楽観視しているという。

「今回、異常な抗議電話の問題がクローズアップされたことで、カスハラは絶対にしてはならない行為であり、場合によっては脅迫や威力業務妨害といった犯罪に該当するという認知が広がっています。さらに、東京都などは“カスハラ防止条例”の制定を進めています。条例によって『カスハラは、していけないこと』だという強いメッセージを社会に発信できるのは間違いありません。日本人の多くがカスハラの問題点について理解するようになり、今後、被害件数は減少に転じるのではないかと考えています」

デイリー新潮編集部

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