5年生存率が1割以下のすい臓がんの「超早期発見法」をスペシャリストが伝授
検査の難しさ
〈5年生存率が10倍以上に跳ね上がるという超早期発見法。東京女子医大教授の本田五郎氏は、これまで150例以上も「ステージ0」の膵臓がんを切除してきた、斯界のトップランナーである。
膵臓がん治療に希望をもたらす「ステージ0」とは一体いかなる状態をいうのか。それを知る前に、まず「膵臓がん」の何が恐ろしいのかを理解する必要があるという。〉
膵臓がんの多くがステージ3や4になってから見つかる理由の一つは、検査の難しさにあります。膵臓は大腸や胃など他の消化器官に比べて非常に検査がしにくい臓器なのです。
膵臓は胃や腸など中が空洞の「管腔臓器」と異なり、細胞がみっしりと詰まった「実質臓器」と呼ばれます。中が空洞の胃や腸は内視鏡などで比較的容易に検査を行うことができるのですが、実質臓器はそういうわけにはいきません。また、膵臓は胃や腸の後ろにあるため、健康診断などで受ける腹部超音波検査(エコー)も完全ではありません。
二つの働き
では、膵臓に詰まった細胞は何をしているのか。その働きは大きく分けて二つです。一つはインスリンなどのホルモンを生産・分泌して血糖をコントロールする「内分泌機能」。もう一つは消化酵素を含む膵液を生産・分泌して食べ物の消化を促す「外分泌機能」です。
膵臓内で作られた膵液は、実は全消化液の中でも飛びぬけて強力な、いわばスーパー消化液。膵液は膵臓中に張り巡らされた「膵管」という管を通って胃と腸の間にある十二指腸に分泌され、胃で粥状(じゅくじょう)にされた食べ物をさらに細かく分解します。例えば私たちが肉の塊を丸のみしてしまった場合、その肉は胃液でもある程度溶かされますが、十二指腸で膵液と混ざることによってほとんど形がなくなるまできれいに分解されるのです。
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