「慰安婦モニュメントの“巨匠”に性加害の過去」 韓国で反日が下火の理由とは? 一方、再び「反日政権」が誕生する可能性も

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 2019年に韓国で起きた大規模な反日不買運動「NOジャパン」。しかし、目下の韓国では一転、「日本ブーム」が起きているという。一体ぜんたい、彼の国の「対日感情」は「反」なのか「親」なのか。韓国人ジャーナリスト・金敬哲氏が取材した韓国世論の最新事情。

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「国民情緒法」という不文律が存在するとされてきた韓国。司法までもが国民世論に左右されるこの国で、不確かな「情緒」の影響を最も受けてきたのが日韓関係であろう。だが近頃、この“因縁”にある変化が生まれつつある。

 例えば、日本の最高裁判所に当たる韓国の大法院が10月26日に下した二つの判決は、日本のメディアでも大きく取り上げられた。

 一つは、書籍『帝国の慰安婦』を巡る名誉毀損事件。著者である世宗大学名誉教授の朴裕河(パクユハ)氏が慰安婦に対する名誉毀損罪に問われ、二審では有罪に。ところがこの日、大法院は一転、審理の差し戻しを命じたのだ。

 もう一つは、長崎県対馬市の寺から盗まれた仏像の所有権を巡る訴訟だ。この仏像(観世音菩薩坐像)は2012年に韓国の窃盗団により盗難されたものだが、その後、韓国の寺院が「14世紀に倭寇により略奪されたもの」と、自らの所有権を主張。一審ではこの韓国寺院の主張が認められ日本側の大きな反発を招いたが、7年半にも及ぶ審理の末、韓国寺院の主張が退けられたのだ。

 いずれも国際的に見れば常識的な判決といえるが、これまでの韓国なら“親日的”と批判が渦巻いても不思議ではなかった。だが、これらの判決に対して大きな「反日行動」が取られることはついぞなかった。

韓国での日本文化ブーム

 韓国社会ですっかり鳴りを潜めたかにみえる「反日」。その要因の一つとされるのが、尹錫悦(ユンソンニョル)政権の誕生だ。

 22年5月に大統領に就任した尹氏は“中国寄り”と評された文在寅(ムンジェイン)前大統領と打って変わり、アメリカや日本との連携を強化。これにより破綻寸前まで追い込まれていた日韓関係も改善に向かい始めた。

 尹政権の誕生後、韓国ではわずか1年半の間に、小説、アニメ、J-POPなどさまざまな日本の文化コンテンツが若者を中心に流行。「J-wave2.0」と呼ばれる現象が起きている。

 たとえば、10月22日にソウル市内で行われた「日韓交流おまつり」は、驚くほどの盛況だった。このフェアは05年に日韓国交正常化40周年を記念して始まった文化交流事業。今年は日本の自治体や企業が100余りのブースを開設していた。

 そのうちの一つ、三井物産のブースでは韓国の若者たちが列を作っていた。聞けば、特典でもらえる「三井」のロゴ入りエコバッグがお目当てという。

 一方、三菱商事のブースでは、富士山のパネルを背景に写真を撮ってくれるサービスが人気を集めていた。

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