義母、愛犬の死で年上妻が口にした“ありえない言葉” 不倫を疑われ51歳夫がとった意外過ぎる行動とは

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卒業以来の麻耶子さんとの再会

 ネットサーフィンをすることも増えた。ネット上ではあるが昔の仲間ともつながった。大学時代の仲間のひとりが経営している飲食店が存続の危機 にあると知り、みんなで出かけてみた。

「まだ人数制限などがあったので4人で行ったんです。卒業以来の再会でした。当時、僕がつきあっていた彼女を裏切って浮気したなんていう噂があったことを謝られたりもして。もういいよ、ここからまたみんなでつきあっていこうということになって。うれしかったですね。するとその場にいた麻耶子が急に『ごめんなさい!』と頭を下げた。当時の恋人から、僕が浮気したと広めてほしいと依頼されたんだそうです。やはり元カノは自分から別れ話が言えなかったから、僕を悪者にしたみたい。もうそんなことはどうでもいいと言ったのですが、麻耶子は何度も頭を下げていました。彼女にとってもわだかまりになっていたんでしょうね」

 帰りがけに麻耶子さんが近づいてきて、元カノに連絡をとろうかと尋ねてきた。そんな必要はないと彼は答えた。今さら会ったところでどうにかなるものでもない。そうねと答える麻耶子さんが妙に寂しそうに見えて、もう一軒行くかと彼は声をかけた。

「ふたりで話していたら、自分の人生のあの頃と今がすんなりつながっていきました。なんだか僕は自分の人生が途切れ途切れになっているような曖昧さを抱えていたのかもしれません。学生時代、瑠美と結婚してから、義母が亡くなったときとその後。その3つがうまくリンクしないというか……。つながらない3幕の芝居みたいになっていた。それが麻耶子と話しているうちにつながっていった。人生50年たって、自分なりにがんばってきたのかなとも思えた」

 その気持ちが麻耶子さんへの親しみにつながった。一方の麻耶子さんは、結婚がうまくいかずに離婚し、ずっと母とのふたり暮らしだったが、コロナ禍で母を亡くしていた。心臓に病気を抱えていたのだが、ある日突然、発作が起こり、救急車での搬送が間に合わなかったのだという。

「コロナ禍でなければ早くに入院させたかったけどそれができなかったと、彼女は悔しそうに話してくれました。誰も恨めない、でもすっきりしない。そんな日々を送っていたそうです。僕自身はすでに妻との関係が冷えていることを実感していたし、自分の母親に対する妻の気持ちも理解できなかったので、つい瑠美と麻耶子とを比べてしまった。だから麻耶子に惹かれたというわけではありません。ただ、麻耶子とはときどき会いたいなと思いました」

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