義母、愛犬の死で年上妻が口にした“ありえない言葉” 不倫を疑われ51歳夫がとった意外過ぎる行動とは
釈然としない妻の言葉
義母はそれがストレスになっていたのではないかと享平さんは言う。息子が高校生になってすぐ、義母が自身の部屋で倒れているのが発見された。見つけたのは息子だった。いつもなら夕方、顔を見せる祖母が来ないので行ってみたら事切れていたのだ。
「そのとき瑠美が『めんどうがかからなくてよかった』と言ったんですよ。どういう意味と僕が言うと、『施設を探し始めていたの。だってふたりとも働いているから母を家でみるわけにはいかないでしょ』って。ずいぶん事務的なんだねと皮肉ったら、『介護はプロに任せたほうがいい』と。さんざんお世話になったのに。『母だって孫と一緒にいられて幸せだったはずよ』と断言していた。もしかしたら大変な負担だったかもしれないのに」
釈然としなかったが、結婚生活は続いていく。家事は分担していたし、未成年の子どもがいるからどちらかは早めに帰宅できるよう調整はしていた。息子は部活に夢中だった。享平さんは部活で一緒の友人の保護者と親しくし、共働きゆえに目が届かないかもしれないのでと周りに配慮していた。息子が悪い仲間とつるんだらどうしようという不安があったのだそうだ。
「息子は流されやすい性格なんですよ。そう、僕に似て(笑)。だから10代のうちはちゃんと目を光らせておきたいと思っていました。瑠美は息子を全面的に信じているからと本人に毎日のように言ってましたね。それが彼女のやり方なんでしょう」
そのころある日突然、息子が子犬を拾ってきた。帰り道でビルとビルの隙間に小さなダンボールが置いてあり、声が聞こえたのでダンボールを引きずり出したら痩せた子犬がいたのだと息子が涙ぐみながら話してくれた。
「息子は、この子犬に自分を重ねているのではないかと思いましたね。放り出すわけにはいかないからもちろんワンコはうちの子になりました。息子が毎朝、早起きして散歩に連れ出していたので、僕もよくつきあいました。自分自身の運動のためと息子と会話をしたいから。このワンコが、多感な息子の精神状態にいい影響を与え、家族をひとつにしてくれたような気がします」
息子は大学を卒業すると、地方の勤務先へと旅立っていった。享平さんが48歳のころだ。寂しそうなワンコを享平さんはそれまで以上にかわいがった。もちろん瑠美さんとの間もワンコが取り持ってくれたが、当時、瑠美さんは再就職した企業でかなりの出世を果たし、多忙な日々を送っていた。
「息子が巣立ったから、妻が多忙でもまあ、いいんじゃないかと僕は思っていました。ただ、ワンコが昼間ひとりでかわいそうですよね。そんなときコロナ禍になって、僕は出社日が減った。妻は毎日出かけていましたが。それなりにひとりの時間を満喫していました」
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