職場の“7歳年上”女性に狙われた新入社員 トントン拍子に交際、突然の妊娠…51歳男性が振り返る“特急列車婚”の末路

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“涙”にほだされ…

 恋人と別れたことを瑠美さんは直感で悟ったらしい。そこが瑠美さんの瑠美さんたるゆえんだ。とんでもなく直感が働き、本能的に察する能力が高いと、享平さんは揶揄しているような褒めているような微妙な言い方で表現した。

「そこから瑠美のアプローチが激しくなりました。僕みたいな平凡なヤツに、こんな才女が言い寄ってくるなんて……と内心、うれしくないわけでもなく、だけどそれに乗っていいかどうかの判断はつかずで、あやふやな態度に終始していたんです。でもあるとき、彼女が僕の前でほろりと涙をこぼしたことがあった」

 それは仕事の件だった。仕事ではいつも強気だった彼女が、上司の朝令暮改に巻き込まれ、それならと役員と上司の頭越しに折衝したところ、役員も味方についてくれなかったという事態が起こった。その役員は彼女の味方だったはずなのだが、その仕事の件に関しては権力が及ばなかったようだ。だから彼女を悪者にした。

「ふたりで残業しているときでした。他には誰もいなかったんですが、彼女は小声で『組織って本当に理不尽。頭に来る』とわなわな震えるくらい怒っていました。こうやって彼女は闘ってきたんだろうなと思うと、つい感情移入して、大変だったねと手を握ってしまったんです。すると彼女はぽろぽろ涙をこぼしてしがみついてきました。僕は職場で彼女とキスして……」

 職場恋愛には気をつけろという姉の声が聞こえたような気がしたが、彼はその声を無視した。そしてその日、瑠美さんの家に泊まったという。

妊娠に「それはないよ」

 もちろんふたりは関係を周りに気付かれないよう細心の注意を払った。だが数ヶ月後、「私はピルを飲んでいるから大丈夫」という言葉を信じていた彼は、当の瑠美さんから妊娠を告げられた。

「それはないよと思いましたが、彼女は『私はすぐに会社を辞める。子どもが生まれる前に婚姻届を出そう。その時点で私のことなんてみんな忘れているから大丈夫よ』って。何が大丈夫なのかさっぱりわからなかったけど、中絶してくれなんて言えないし、彼女はすでに31歳になっていたし、僕が結婚するものだと信じ込んでいるし。そこからはまるで特急列車に乗ったかのようにことがスムーズに運んでいったんです」

 苦笑いをしつつ、享平さんはそう言った。瑠美さんの退職は一時期、「役員との不倫破局が原因」だの「別の役員と不倫ふたまたしていたらしい」などと話題にはなったが、彼女の言うとおり周りはすぐに忘れていった。

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