パレスチナ人の抹殺を目論むネタニヤフ首相 バイデン大統領も止められず、トランプ前大統領が急浮上 米国に追随する日本は何をすべきか
世界の“カオス化”
意外なことに、トランプ氏の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏はユダヤ教徒であり、結婚によって娘のイヴァンカ氏もユダヤ教に改宗した。トランプ氏は親ユダヤ主義でもおかしくないはずなのだが、実際の発言や行動は逆だ。
「トランプ氏といえば“反ユダヤ”というのはアメリカでの常識で、だからこそイスラエルの過剰な軍事作戦を批判する層も取り込み、支持率を伸ばしているのです。ネタニヤフ政権にとっても、停戦などの助言がうるさいバイデン政権よりは、ほったらかしで自分たちの好きにやらせてくれるトランプ氏の再選を歓迎するでしょう。大統領選まであと1年しかありません。このまま支持率が伸び伸長を続けると、トランプ氏が大統領選で勝利を収める可能性は高まるばかりです」(同・佐瀬氏)
前回、トランプ氏が大統領に就任したことで、ヨーロッパ諸国との溝が広まったことは記憶に新しい。自国第一主義のトランプ氏は、本質的に外交には無関心だ。もし再選となれば、例えばウクライナへの支援もが大幅に減額される可能性がある。
アメリカでは自国第一主義が復活。“世界の警察官”は不在となり、ロシア、中国、北朝鮮、そしてイスラエルがやりたい放題──これが世界の“カオス化”を意味するのは言うまでもない。
無力な日本外交
もちろん中国や北朝鮮の跳梁跋扈は、日本にとって好ましい状況ではない。イスラエル問題は対岸の火事ではないことは明白だが、かといって、日本外交で打てる手は限られている。
アメリカの言うことを聞かないイスラエルが、日本の助言に耳を傾けるはずもない。上川陽子外相が継続的に中東諸国の歴訪を繰り返したとしても、成果は少ないだろう。
「日本の国益を最優先にするのなら、『トランプ再選阻止』になります。しかし、これも他国の選挙なので打つ手は何もありません。現実的には、ヨーロッパ諸国、特にNATO(北大西洋条約機構)加盟国とのパイプを強化することでしょう。『トランプ氏の再選が現実味を帯びてきました。再選となれば米欧関係が冷え込む可能性があります。対策をみんなで考えましょう』と極秘裏に呼びかけるのです」(同・佐瀬氏)