表彰台で抗議をした二人の黒人選手と傍らに立った白人選手「ピーター・ノーマン」感動の物語 前日に三人の間で交わされた会話とは(小林信也)

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 1968年のメキシコ五輪。陸上男子200メートルの表彰式でその事件は起こった。

 アメリカの国歌が流れ、星条旗が掲揚される中、19秒83の世界新記録で金メダルを獲得したトミー・スミス(米)と銅メダルのジョン・カーロス(米)が黒い手袋をはめてうつむき、スミスは右手、カーロスは左手の拳を高く突き上げた。足元には黒いソックス。それは〈ブラック・パワー・サリュート〉と呼ばれる、黒人差別に対する抗議行動だった。華やかな賞賛に包まれるはずの表彰式が重苦しい空気に沈んだ。...

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