「岐阜市」衰退のワケは「路面電車」廃止のせい? 同じ名古屋圏でも大活躍のエリアが

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乗らない人たちに対してもメリット

 利便性の向上策は、電停の移設や新設だけにとどまらない。2008年に豊橋鉄道は新型車両のT1000形を導入。それも利便性向上につながっている。一般的に路面電車は段差がなく、高齢者や障害者、ベビーカーを押している人にも利用しやすい。いわゆる、バリアフリーがセールスポイントとして語られる。

 豊橋市電が新たに導入したT1000形は超低床車と呼ばれるもので、超低床車はバリアフリーをさらに進化させて乗降しやすい。こうした取り組みにより、利用者は路面電車の利便性を再認識したことだろう。

 そして、豊橋市電は利用者だけではなく、乗らない人たちに対してもメリットを感じさせる施策を打ち出している。2015年から駅前―駅前大通間の軌道敷内に芝生を植栽し、景観を向上。また、アルファルトから芝生へと切り替わったことで路面の温度は20度も下がり、それはヒートアイランド現象の抑制といった効果にもつなげている。

 路面電車を大事にする豊橋市も岐阜市同様に郊外化が進んでいることは否定できない。それでも岐阜市のように路面電車を廃止しようという動きは見られない。官民が一体となって路面電車を残そうとしている。

 同じ名古屋圏でも、路面電車へのスタンスは岐阜と豊橋で対照的となっている。

小川裕夫/フリーランスライター

デイリー新潮編集部

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