フワちゃんはスキャンダルタレントの「再生請負人」？ 木下優樹菜にベッキー…フジテレビの悪ノリが止まらないワケ
「楽しくなければテレビじゃない」を履き違えたフジテレビ リアクション芸人のフワちゃんと悪魔合体してしまったバラエティーエリート意識
ジャニーズの件であれだけメディアの忖度が問題視されたのに、裁判沙汰になって事務所から契約解除されたタレントを、わざわざ今キャスティングすることには首をかしげる。しかも木下さんの起用を面白く着地させられるかどうかはフワちゃん次第という、タレントの力量に丸投げの企画になってしまっていた。画面内の人たちは爆笑だったが、お茶の間はドン引きだったことだろう。
過激化するYouTubeに対し、面白くなくなったと言われて久しいテレビ業界。中でもかつて「楽しくなければテレビじゃない」を標榜したフジテレビは、歯がみしているに違いない。秋の改編テーマもまさに、「やっぱり、楽しくなければフジテレビじゃない」と原点回帰したようだが、今回の企画はたちの悪いYouTuberと同じである。先日は女子アナに、肌色の全身タイツを着用の上だが「貝殻ビキニ」を着せる企画でプチ炎上していた。女子アナもノリノリだったように見えたとはいえ、「美女が珍妙な格好をするのって面白いよね」「ノリがいい美人って最高だよね」という、フジテレビの忘年会の宴会芸を見せられているような内輪ノリを感じてしまった。
番組の仕掛けや演出より、ショッキングな出オチ芸で視聴者の興味を引く企画。それが、持ちネタや突出した話芸を持たず、相手のツッコミへのリアクションで笑いを取るフワちゃんとの相性がいいのは確かだ。返す言葉に気を使うような「スネに傷」タレントが現れる時ほど、フワちゃんのリアクション芸が輝く。それが面白ければ何をやったっていい、というフジテレビのゆがんだバラエティーエリート意識と悪魔合体してしまったように思えてならない。
「みそぎ」ですらない不祥事タレントコラボ 未練がましいスキャンダルタレントがいる限りフワちゃんは安泰？
一方でフワちゃんも、自分のキャラの賞味期限に限りがあることをなんとなく感じているのではないだろうか。好感度が高い一方で「イライラする」とアンチも多い。大御所にもキレ返すことのできる女性芸人は、ぼる塾・あんりさんや、ヒコロヒーさん、やす子さんなどライバルだらけ。出オチ芸ではキンタロー。さんという強敵もいる。でも、わざわざスキャンダルタレントと組んでまで注目を引こうとする芸人はそうはいない。ならばそのポジションを取るという野心と、テレビ業界への免疫のなさを、うまく利用されてしまったのではないかと心配してしまう。
不倫した男性芸人をイジッて「みそぎ」とするテレビ文化は確かにあるが、女性タレントには当てはまらない。でもベッキーさんや木下さんとフワちゃんの絡みは、もはや「みそぎ」という目的さえないのだろう。イライラする人にイライラする人をぶつけたら何が起こるか、という「実験」に近い。
「まぜるな危険」をまぜたらどうなるのか。コーラにメントスを入れて泡が噴き出すのを面白がっていた、原始的なYouTube企画と同じだ。まぜたら大変なことになりました、と見せたいだけで、あとはタレントがどうなろうと知ったこっちゃないという企画者の冷徹さが透けるばかりだ。それでいいのかフジテレビ。それでいいのかフワちゃん。
ただ芸能界の片隅には、華やかな世界に未練を残しながらもくすぶっている不祥事タレントは山ほどいる。ということは、フジの企画フォーマットもフワちゃんもまだまだ安泰ということだ。あの元人気芸人、あの元人気アイドル、あの元人気コメンテーター。お台場の一角で、フワちゃん詣での行列は長く続いているのではないだろうか。
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