逮捕された「私人逮捕系YouTuber」のファンだった30代女性の後悔 「一緒に張り込みもしましたが、最後は私自身が晒されて生活を壊されました」

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「私人逮捕系」を謳い、市民を勝手に撮影してネットに晒す行為を繰り返したYouTuberが、警視庁に名誉毀損の疑いで逮捕された。このような過激YouTuberがネット空間で猛威を振るうようになったのも、彼らを囃し立て「拡散」する協力者がいるからだ。その1人となったことを後悔している30代の女性に話を聞いた。

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もともと「過激な人」が好きだった

 東京郊外在住のA子さんは、今年の春先まで約7年間、引きこもりがちな生活を送っていた。仕事はイラストレーターで職場は自宅。気づいたら誰とも話さず、孤独のまま1日を終えることが日常――。

〈こんな生活を続けていたら廃人になってしまう〉

 そんな不安に駆られたA子さんは、刺激を求めて外に出てみたいと考えた。そこで連絡を取ったのが、11月13日、「コンサートのチケットを転売していた」と女性に言いがかりをつける動画を配信したとして、名誉毀損容疑で警視庁に逮捕された「煉獄コロアキ」こと杉田一明容疑者(40 )だった。

 今年4月の時点で杉田容疑者はまだ私人逮捕活動はしていなかったが、コスプレ姿で始めた反ワクチン活動や若年女性支援団体への妨害活動などで、徐々にSNSで注目度が上昇。結果は落選だったが、武蔵野市議会議員選挙にも立候補していた。

「もともと過激なことをする人が好きで、どんな思考回路を持っているのだろうと興味を持っていました。コスプレ男が本当に市議会議員になったら面白いとも思いました。気づいたら、勢いで会いに行ってしまっていた」(以下、A子さん)

仲間が増えて楽しかった

 初めて杉田容疑者と会ったのはJR吉祥寺駅前の広場。そこには自分と同じくSNSで呼応した7、8人の選挙応援ボランティアが駆けつけていた。ビラ配りの後、マクドナルドで行われた食事会に参加した時は緊張した。

「取り巻きには意外と女性が多かった。中高一貫のお嬢様学校で育ってきたという、一見、普通そうに見える20代の女性もいました。ただ、私もそうですが心療内科に通っているなど、全体としてはコミュニケーションが苦手そうな人が多かった。とはいえ、久しぶりに人と触れ合っているというすごい高揚感がありました。自分がうまくしゃべれているか終始気になりました」

 杉田容疑者にはカリスマ性を感じた。

「インスピレーションがすごくて、すぐに行動に移す。この人が世の中を動かしたら面白いと感じてしまった」

 杉田容疑者の支援者たち二十数名で構成されるグループLINEに加入したことで、一気に交友関係は広がった。やがて、杉田容疑者が新宿・歌舞伎町で行っていた夜廻り活動にも参加するように。杉田容疑者には活動を共にする20代から40代くらいの女性ファンが4、5人いて、「毎晩のように彼女たちと神輿を担いで、わいわい一緒に過ごすのが楽しかった」と振り返る。

 ノリで始めた活動だったが、徐々にやりがいも感じ始めるようにもなった。

「あの頃、大久保公園のあたりには体を売ることを目的とした若い日本人女性が溢れていて、10代の子もいた。私自身もやんちゃをしていた過去もあったので、親身になって彼女たちの話を聞いてあげました。『ホストなんか信用したらダメ』と諭すと、『やめる』と素直にわかってくれる子もいました」

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