ハマス戦闘員が一人でイスラエル軍「メルカバ戦車」を攻撃 その動画を見た軍事関係者が仰天するワケ
高い戦闘能力
戦車は通常、単独で敵を攻撃することはない。上空から空軍の支援を受け、陸上では随伴歩兵が脇を固める。ところが、トロフィーを稼働させていると、歩兵は戦車の側にいるわけにはいかない。
「戦車がロケット弾で攻撃されると、即座にトロフィーは迎撃弾を撒き散らします。そのため歩兵が負傷する危険があり、随伴させるわけにはいきません。そこをハマスの戦闘員は狙ったのでしょう。通常なら、戦車に爆弾を置こうとしても、歩兵に見つかって終わりです。ところが、今回のメルカバには歩兵がいません。戦車からの視界は限りがあるので死角が生じますし、トロフィーは人間には反応しません。そのため戦闘員は、戦車に肉薄することができたのです」（同・軍事ジャーナリスト）
爆弾でトロフィーのレーダーを破壊。とって返してRPGを手に取り、防御力を失ったメルカバに一撃を食らわせたというわけだ。
「非常に危険な戦術ですから、普通の軍隊なら許可が出ないかもしれません。とはいえ、ハマスの戦闘員は厳しい訓練を積み、高い戦闘能力を持っていることが明らかになりました。率直に言って、夜盗の類と変わらない無頼の集団かと思っていたのですが、正規軍の精兵と遜色ありません。士気も高く、戦場に慣れていることも一目瞭然です」（同・軍事ジャーナリスト）
精鋭の戦闘員
イスラム世界のテロリストは、スーサイド・アタックの伝統を持つ。だが、今回の動画を見ると、ハマスの戦闘員は生き残ろうとしていることが分かる。
「爆弾1つを持って戦車に肉薄するのですから、スーサイド・アタックを土壌として生まれた戦術なのでしょう。しかし、ハマスの戦闘員は命を落とすことなくトロフィーの無力化に成功したわけです。おまけに、たった1人でやってのけました。戦闘員の練度が高いのは明らかです。彼我の戦力差は圧倒的ですし、イスラエル軍は国際世論も人質の命も無視して攻撃を続けています。ハマスが敗北する可能性は高いと言わざるを得ませんが、あれほど精鋭の戦闘員がいるとなると、イスラエル軍もハマスの掃討には手こずると思います」（同・軍事ジャーナリスト）
註1：ガザ市包囲もハマス徹底抗戦 戦車に爆弾置き捨て身の攻撃 イスラエル「本格侵攻へ」（FNNプライムオンライン：11月3日）
註2：イスラエル軍のメルカバ戦車を破壊するためにハマスがとった捨て身の戦法（ミリタリーチャンネル「ミリレポ」公式YouTubeチャンネル：11月5日）
