「アルコール」と「肝臓」の新常識 「良いお酒飲み」になる「減酒」術

ドクター新潮 ライフ

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減酒を助ける薬

 アルコール依存症の可能性がある人は、ぜひ病院を受診してほしいのですが、現実的にはハードルが高いようです。精神科に行かなければアルコール依存症は診てもらえないと思い、そして自分は「単なるお酒好き」であって決して精神を患っているわけではないと考える人が多いからだと聞きます。しかし、今では内科でもアルコール依存症の薬を処方してもらえるようになっています。精神科に行くことに抵抗を覚える人は、ぜひ内科で薬を処方してもらってください。例えば、「セリンクロ」という新しい薬は、アルコール摂取による「快楽」と「非快楽」の振幅を小さくし、減酒を助ける効果があります。

 NN型の人もND型の人も、肝硬変になって飲みたくても飲めない体になってしまう前に、減酒に努めて肝臓を長持ちさせる。これこそが「生涯にわたってお酒を楽しむ」、すなわち「最後まで人生を楽しむ」ことにつながるはずです。

尾形 哲(おがたさとし)
肝臓外科医。1970年生まれ。日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医・指導医、日本肝臓学会専門医。神戸大学医学部医学科卒業、同医学部大学院博士課程終了。フランス政府給費留学生としてパリ大学付属ボジョン病院に臨床留学。多くの肝移植手術を経験する。今年9月に出版した『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA )等の著書がある。

週刊新潮 2023年11月9日号掲載

特別読物「『アルコール』と『肝臓』の新常識 専門医が指南『良いお酒飲み』になる『減酒』術」より

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