「アルコール」と「肝臓」の新常識 「良いお酒飲み」になる「減酒」術

ドクター新潮 ライフ

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中程度の連続攻撃に弱い

 その反面、不思議なことにジョッキのビールを毎日4~5杯飲むといった「中程度」の連続攻撃に弱い。ボクシングで言うと、その時はあまり大したことがないように思えても後でじわじわと効いてくるボディブローの連打のような攻撃に弱いのです。

 中程度の攻撃に弱い肝臓。しかし、沈黙の臓器と呼ばれる肝臓は最後まで悲鳴を上げないため、肝硬変等になるまで自覚症状がないケースが多く、痛みを感じることもありません。

「肝臓が硬く変化する」と書いて肝硬変です。健康な人の肝臓は焼く前の鶏のレバーのように赤く表面がツルッとしていて、弾力があります。一方、肝硬変になってしまった人の肝臓は、それで机をたたけばコンコンと音がするほど、まさに石のように硬くなっています。そんな状態になるまで音(ね)を上げずに頑張っている肝臓を、もっといたわってほしいのです。

「4回目の食事」

 そのために先ほど減酒法を紹介したわけですが、ここからは、他にも知っておくべきお酒に関する話をしたいと思います。

 まずは、焼酎やウイスキーといった蒸留酒に対する誤解です。ビールやワイン、日本酒などの醸造酒が糖質を含むのに比べ、蒸留酒は糖質ゼロなのでヘルシーである。そう考えて、糖質制限ダイエットに励む人の中にはビールを控えて焼酎に替える人がいます。だから自分は「健康的」なのだと。

 しかし、確かに蒸留酒は糖質ゼロですが、アルコール自体が相当のエネルギーを含んでいます。純アルコール1グラムに含まれるエネルギーは約7.1キロカロリーです。脂質1グラムは約9キロカロリーですからアルコールはそれより少し低い程度。しかも、糖質とたんぱく質は1グラムあたり約4キロカロリーなので、これらよりもアルコールは高カロリーなのです。したがって、飲酒は「4回目の食事」と考えるべきであり、蒸留酒だからといって、いくら飲んでも脂肪肝にならなかったり、太らないということはありません。

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