【追悼】大橋純子さんがフルパワーでバラードを歌わなかった理由

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自選の好きな曲は

 インタビューでは、大橋さんがリスナーとして好きな曲についてもうかがった。

 洋楽をよく聴いていて、ポップであり、エスニックな要素を感じる曲が好きだという。ジャズとファンクを微かに感じ、それらが微妙にからまったポップスをよく聴くそうだ。そのときは、ダイアナ・クラールやマット・ビアンコを愛聴していた。

 洋楽を主に聴いているという大橋さんに“自分が好きな自分の曲”をうかがうと、代表曲をずらりとあげられた。「たそがれマイ・ラブ」「シルエット・ロマンス」「愛は時を越えて」「シンプル・ラブ」「サファリ・ナイト」。

 筆者が好きなのは「ビューティフル・ミー」。大橋さんが導入から歌い上げる曲だ。声量があってこその曲。歌詞からは女性のかわいらしさが感じられる。

 それを伝えると、大橋さんはくすっと笑った。「ビューティフル・ミー」はライヴのセットリストの候補にいつもあがり、尺の関係で落とさざるを得なくなるケースが多いそうだ。

 プロ中のプロだからこその声をライヴでまた聴きたかった。

神舘和典(コウダテ・カズノリ)
ジャーナリスト。1962(昭和37)年東京都生まれ。音楽をはじめ多くの分野で執筆。共著に『うんちの行方』、他に『墓と葬式の見積りをとってみた』『新書で入門 ジャズの鉄板50枚+α』など著書多数(いずれも新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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