家の前で待ち伏せし妻にいきなり土下座、実母にありえない言動を…46歳夫が振り返る「病んだ不倫相手」「冷静だった妻」
妻の返事は…
真希さんは、「歌織さんが好きなのはわかった。一緒になりたいの?」と言った。そこまで考えていない、恋が楽しかった。ただ、歌織に惹かれていたのは確かだと政宏さんはつぶやいた。
「バカじゃないのと真希に言われました。正直ならいいってものじゃない。私を傷つけて楽しいの? と。僕は真希と家庭を作ってきてよかったと思ってる。家庭に何の不満もない。それとこれとは別の話なんだと言うと、『待って。私は今、そこまで冷静になれない。今晩、もう一度話そう』って。そして真希は僕の母のところへ行ったようです。まずいなと思いました。僕の母は真希のことが大好きなんです。かつて、『亡くなった娘が戻ってきたような気がする』と僕にポツリと言ったことがあるくらい。ふたりの間には僕も入れないような信頼関係があったようです」
だが、真希さんは娘を迎えに行っただけで、母には話さなかったようだ。それもまた潔い真希さんらしい判断だった。
「その晩、話し合ったんですが、真希は怒る気にもなれないと言うんです。『結局、あなたと私は信頼関係がなかったということなのかなあ。怒るというより寂しいし悲しい。夫婦ってやっぱり他人なんだなと改めて思った』と淡々と言いました。妻にそんなことを言わせてしまったのがつらかった。僕は世間一般から見て許されないことをしたと思うけど、家庭への僕の気持ちは変わってない。言い訳にしか聞こえないと思うけど、真希のことは信頼しているし、真希との家庭を壊したくないと釈明しました。伝わったかどうかわからないけど」
歌織さんの言動がおかしくなって…
政宏さんも歌織さんも別れなくてはいけないと思いながら、別れることができなかった。勤務先で淳也さんに会うことはなかったが、帰りに待ち伏せされたことはある。妻を必死につなぎとめようとする淳也さんと、それを嫌がっている歌織さんという図式がわかり、政宏さんも身動きがとれなくなった。
「帰宅したら歌織が家にいたことがあるんです。もちろん真希もいました。歌織が家の前で待っていて、いきなり土下座したんだそうです。『別れたくない、見逃してほしい。政宏さんに会えなくなったら私は終わりなの』と近所の目もはばからずに号泣したんだそうです。真希はあわてて彼女を家に入れた。歌織はずっと黙ったままだったとか。その後、僕が自宅近くまで送り届けましたが、真希は『彼女、少し病んでる。気をつけたほうがいいよ』と言っていました。僕もそんな気配を感じてた」
それなのにふたりで会う時間をとり、やはりホテルに行ってしまった。ふたりの体の間に漂う空気が心を満たす。自分の肌と相手の肌の区別がつかなくなる。恋や愛という概念を越えたものがふたりの間にはあると得心できるのだ。
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