自見英子大臣は350億円「日よけ」発言で大炎上 大阪万博“建築費”を膨張させた経産省OBの罪

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 建設費が高騰し、批判され続けている「大阪・関西万博」。中でも、350億円もの巨額の費用をかけて建設される木造建築物「大屋根(リング)」について、自見英子万博担当相が11月8日の衆院内閣委員会で「夏の日よけとして大きな役割を果たす」と答弁し、大炎上している。

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誤解を生む説明だった

 23年6月に建設が始まっているリングは万博デザインプロデューサーによってデザインされた万博の「象徴」である。完成すれば、会場を囲む来場者の導線として機能し、1周が2キロメートル、高さ12メートル(外側は20メートル)、内径が615メートルという世界最大の木造建築物になる。

 確かに、公式サイトには「リングの屋根の下は、会場の主動線として円滑な交通空間であると同時に、雨風、日差し等を遮る快適な滞留空間として利用されます」との記述があり、自見大臣の答弁は決して間違ったものとは言えないようだ。しかし、

「誤解を生むような説明であったことは間違いありません」

 と、国交省関係者。

「確かに日よけのためというのは正しい説明とはいえ、これだと“350億円という巨額のカネをかけて日よけを作るのか”という批判を招くことになります。過去を振り返っても、万博にシンボル的な建築物は作られてきました。70年の大阪万博では太陽の塔、05年の愛知万博では会場を1周するグローバル・ループ(水平回廊)がありました。今回の場合は木造建築であり、閉幕後に解体され、使用した木材は民間に売却し、再利用することになっている。つまり、SDGsや環境に配慮した上でのシンボル的な建築物になる、ということなんです。そもそもリング自体が無駄だ、という議論があるのですから、そのことを踏まえた上で説明するべきでした」

見積もりが甘すぎた

 万博全体の会場建設費は当初予算の1.9倍、2350億円に膨らむことがこの10月に明らかになったばかり。そのこととも相まって、ますます批判の声が上がっている。

「建設費について言えば、当初の見積もりが甘すぎんたんです」

 と、この関係者が続ける。

「最初の計画では愛知万博の会場建設費をもとに算出した1250億円という金額だったのが、リングの建設費などが発生し、20年には1850億円に引き上げられました。しかし、すでに建設費を上げた昨年の時点で、建築資材の高騰などにより、さらなる費用の嵩上げが必要になるのは明らかでした。そこでさる政府関係者が万博協会の当時の幹部に対し、“このままの建設費では無理だろう”とアドバイスしていたんです。ところが、その幹部は“バッファとっているから、これでいけると思います”と自信満々に語り、取り合わなかった。彼は、大阪のゼネコン事情についてまったくわかっていなかったんですよ。結局、この幹部は今年に入って、万博協会から離れることになりました」

 そもそも、かような事態を招いているのは2025年日本国際博覧会協会(万博協会)・事務総長の不手際であると語るのは、さるゼネコン関係者だ。

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