「国民をバカにしている」で解散見送りの岸田首相は「もう詰んだ」の声 「想定外の大義」があるとの観測も
やり方が国民をバカにしたものだった
「しかし、全く逆効果でしたね。減税の立案は自民党の木原誠二幹事長代理兼政調会長特別補佐が担ったとされていて、“やり方が国民をバカにしたものだった”と指摘する声が大きいですね」(同)
つまり、減税という言葉だけで国民がなびくだろうと考えていたフシがあって、それが間違いの始まりだったということのようだ。
「もう少し還元額が大きく、恒久的なものであれば国民の反応は違ったかもしれません。岸田首相は今回の減税方針について『税収増の国民への還元策』と訴えてきましたが、鈴木俊一財務相は“税収増分は政策経費や国債の償還などですでに使っている。減税するなら国債の発行をしなければならない”と国会で述べました。議論の前提すら閣内で一致していないと言われても仕方がないでしょう。ただ、今回しばしば指摘されているのが、財務省側の岸田官邸への厳しいスタンスです。確かに減税は財務省としては常にとにかく抵抗する対象ではあるのです。それにしても先回りして、減税が首尾よく運ばないよう手はずを整えていたように見受けられますね」(同)
減税するか否かを争点にすべき
「聞く力」がそれなりに好感を持って受け止められていた時期があったとは信じがたいほど空気を読めなくなっているというのが岸田首相の現状と言えそうだ。
「増税メガネ」と揶揄され、それに対抗するかのように減税を口にしても、褒めてもらえず、選挙目当てだ、ステルス増税だと批判される。何をやっても聞こえてくるのはネガティヴな声ばかりである。
「そもそも世論に訴えるということでいえば、減税するか否かを争点にして解散すべきだったのでは、とは言われていますね。それでも野党の支持率は伸び悩んだままという点は、岸田首相が年内解散を考える動機になっていたのです。補正予算の成立後となると師走解散となり、クリスマスイブの投開票が想定されていました。年を越せば支持率がさらに下がって解散を打つタイミングを見込めず、総裁選再選もおぼつかず退陣が避けられない……というシナリオも十分ありえますからね。しかし、そんなのはすべて自分たちの都合に過ぎません。仮にそのようにしていれば、常識的にはなんでこんな忙しいタイミングで?と思われたでしょう」(同)
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