昭和の名大関・朝潮 朝青龍騒動で珍回答、初優勝で男泣きした真相…“愛されキャラ”のエピソードが蘇る
最後の花道は、浪速の地で飾りたい
この優勝により、綱取り待ったなしとなった大ちゃんだったが、好調の波は持続せず、綱取りに失敗。しかし、そんな大ちゃんに春がやってきた。昭和61年春、知り合ってわずか1カ月という速攻で、22歳の美人OL・芋縄恵さんとの婚約を発表したのだ。
婚約発表記者会見の席上、恵さんに3.75カラットの婚約指輪を渡したことを問われると、大汗をかきながら、
「もう、金ないス……」
と、小さくなった大ちゃんに、会場は大爆笑だ。
大関の座が長くなってきた大ちゃんが、心に決めていることが1つあった。
最後の花道は、浪速の地で飾りたい。
平成元年春場所、初日から元気なく4連敗した大ちゃんは、引退の決意を固めた。
「心残りはありません。精一杯やったつもりです」
しかし、本心は次の言葉にあった。
「でも、横綱になれなかったのが、悔しいです」
涙のない大ちゃんらしい明るい幕引きだった。
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