【旧ジャニ問題】熱心に報じる「朝日新聞」と消極的な「テレビ朝日」 同じ「朝日」でなぜこうも違うのか

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テレ朝の「新劇場」を旧ジャニーズ勢が使う?

 朝日とテレ朝の性加害問題に対する論調の落差には、持ち株比率も影響しているだろう。朝日は1997年の時点でテレ朝の株式55%強を持ち、子会社としていた。これが2009年には24%強に下がった。逆にテレ朝(2014年からテレビ朝日ホールディングス)は2008年から朝日の株式11%強を持っている。

 テレ朝はもう朝日の子会社ではなく、関連会社に過ぎない。一方でテレ朝は朝日の大株主なので、同社の経営を左右する議決権も持つ。現在の両社の関係は対等に近い。

 とはいえ、持ち株比率は視聴者、読者には無関係。社名も同じ「朝日」なのだから、性加害問題の論調の差に違和感をおぼえる人もいるのではないか。

 もう1つ、朝日とテレ朝の論調の違いを生む理由として、民放界と芸能界で指摘されている件がある。テレ朝は東京都江東区有明の埋め立て地に、地下1階、地上11階の複合ビル「東京ドリームパーク」(2025年12月末完成予定)を建設する。そこに入る劇場を旧ジャニーズ勢が使うと言われていることである。

 旧ジャニーズ勢が使う劇場といえば、客席数約1900の「帝国劇場」(千代田区)と、現在はSMILE-UP.が所有し、客席数約700の「東京グローブ座」(新宿区)が知られる。しかし、帝劇は老朽化のため2025年をめどに閉館し、建て替え工事に入る。その時、帝劇の代わりになるのがテレ朝の劇場だと目されている。

 性加害問題は終わっていない。補償はこれからなのだから。一方で性加害問題を早く過去のことにしたい人たちがいるのではないか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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