コレクターの高齢化で「生前見積」が話題 生涯をかけて集めた「お宝」を“ゴミ捨て場送り”にさせないサービスの中身とは

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家族にコレクションの価値を伝えやすい

 コレクターにとって生前見積を受けるメリットはどんなところにあるのか。中村氏が言う。

「自分のコレクションの価値を再確認でき、自分以外の人にその価値を伝えるツールとして使えます。コレクションを収納した箱の上に、査定結果が記された紙を置いておくだけでも、家族の印象はだいぶ違うでしょう。書面にも、『当社にご相談ください』と書いてありますから、コレクターの死後、実際に遺族が当社に持ち込んでいただくケースが多いです」

 気になる過去最高額だが、具体的な数値は非公開であるものの、数百万円代は普通にあるという。具体的には手塚治虫の昭和20年代のヴィンテージコミックや、ブリキやソフビの充実したコレクションをもつコレクターの場合などだ。特撮関連の古い玩具、ゴジラなど怪獣ものの人形やパンフレットなども高額査定が出ることが多いという。

 生前見積はあくまでもコレクター向けのサービスであり、対象となるのは、ある程度のコレクションの数があり、資産性のあるものに限られている。例えば、漫画の単行本の場合、ヴィンテージコミックではなく現行で流通しているものが中心の場合は、まんだらけの通常の買取査定を案内するそうだ。また、まんだらけで取り扱いのない骨董品や着物、古銭などは対象外となっている。

金額が高ければ周囲の目が変わる

 ネットオークションやフリマサイトなど、コレクションを処分するプラットフォームがたくさんある中で、まんだらけが選ばれる理由はどこにあるのだろうか。

「当社はコレクターズショップとして、長年の信頼を得てきた自負がありますし、扱ってきた品物が多岐に亘っています。長年蓄積してきたデータがありますから、鑑定や査定を信頼していただいているケースが多いのではないでしょうか」

 日本ではコレクターの地位が決して高いとはいえない。「開運!なんでも鑑定団」でコレクションに使った金額や置き場所を巡り、夫婦喧嘩が勃発しているエピソードは定番である。そういったトラブルに見舞われているコレクターが、生前見積でコレクションを査定してもらい、金額を提示すれば、家族が驚くことが多いという。価値を伝える手段として、金額ほどわかりやすいものはないと実感できる。

 コレクションの行く末に不安を感じている人。高額査定を出して家族に自慢したい人。コレクターによって事情は様々だが、気になった人は生前見積を依頼してみてはいかがだろう。

山内貴範(やまうち・たかのり)
1985年、秋田県出身。「サライ」「ムー」など幅広い媒体で、建築、歴史、地方創生、科学技術などの取材・編集を行う。大学在学中に手掛けた秋田県羽後町のJAうご「美少女イラストあきたこまち」などの町おこし企画が大ヒットし、NHK「クローズアップ現代」ほか様々な番組で紹介された。商品開発やイベントの企画も多数手がけている。

デイリー新潮編集部

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