Jリーグ“秋春制”移行、最大の障壁とは? 選手とスタッフの「卒業時期問題」も

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「お客さんを奪われる!」

 10月5日に開幕したバスケのBリーグ、14日に開幕したバレーのVリーグ、さらには12月に幕を開けるラグビー・リーグワンなどが悲鳴を上げている。

 Jリーグが「秋春制」を目指すとの方針を発表した。2月ごろに開幕し11月ごろに終えている「春秋制」が、欧州リーグと同様、8月ごろに開幕し5月ごろに終える日程となる。これにより、Jと欧州クラブ間の移籍が円滑化する。アジア連盟も今年から秋春制に移行したため、アジアチャンピオンズリーグでの“ねじれ”も解消する。

 だが、コトはそれほど簡単ではない。関係者いわく、

「新潟など雪国本拠のクラブが猛反対しているんです」

 なるほど“積雪”は大敵だ。

「“スポンサー”の問題もある。従来通り年度毎に協賛金を計上すると、J2陥落した際に下半期の露出が激減してしまい、スポンサーは大損害。一方、シーズン毎では、期間が1年半に延びる1季目の協賛金が1.5倍に膨れ、各社快く払ってくれるかどうか。半年のシーズンを作る? 日程的にホーム&アウェーができないので不公平が生じます」

「半年間、失業してしまう」

 それ以上に難しいのが“スタジアム”の問題だ。

「多くの試合会場が、行政が管轄するスタジアム。現行では来季J1残留かJ2陥落かは12月に決まります。それを受けて、行政は年末年始にかけて次年度の施設の利用計画を策定する。でも、秋春制は年度を跨いでしまう。特にJ1とJ2は日程が大きく異なり、どちらも対応できるように施設を押さえようとすると、他競技や市民の利用が著しく妨げられてしまいます」

 そして、隠れた最大の障壁が、“卒業”問題である。

「高校生らが卒業してJリーグのクラブに加入する。今はほぼ同じタイミングで開幕していますが、秋春制だと半年間待たされる」

 それでも、おそらく給料は出るであろう新人選手たちはまだマシだ。割を食うのはスタッフである。トレーナーやマッサージ師、ジュニアやスクールのコーチなど選手数の何倍にも及ぶ。

「シーズン契約の彼らは、終わるまでクビを切れない。かといって、次の開幕まで仕事がない新卒に給料は払えない。彼らは卒業後半年間、失業してしまうのです」

 ゴールは見えない。

週刊新潮 2023年11月9日号掲載

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