「news zero」で櫻井翔を続投させる日テレの特別な事情 ニュースキャスターをタレントにやらせる危うさとは

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 旧ジャニーズ勢の「嵐」のメンバーである櫻井翔(41)が、来年以降も日本テレビ「news zero」(月~木曜午後11時、金曜午後11時30分)の月曜キャスターを続けるのは知られている通り。理由など裏側を深掘りする。日テレが櫻井を降ろすはずがなかった。

民放ビジネスは視聴率で動く

 まず、櫻井の登場する「news zero」月曜日の個人視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を、同時間帯の対抗番組であるTBS「news23」(月曜~木曜午後11時、金曜午後11時58分)と比べてみたい。(コア:13~49歳に限定した個人視聴率、民放の収益を大きく左右する)

<10月2日>
zero:個人全体4.9%、コア4.6%
23:個人全体1.8%、コア0.8%

<10月9日>
zero:個人全体3.9%、コア3.3%
23:個人全体1.9%、コア1.5%

<10月16日>
zero:個人全体4.3%、コア3.6%
23:個人全体1.7%、1.3%

<10月23日>
zero:個人全体3.9%、3.3%
23:個人全体1.7%、コア1.3%

「news zero」はどの曜日も優勢だが、櫻井の登場する月曜は特に完勝である。

 民放ビジネスは視聴率で動く。エビデンスを示さず、「視聴率時代は終わった」とする向きもあるが、それは机上の空論。各局の株主報告書を一目見たら、瞬時に現実が分かる。

日テレにとって櫻井はありがたい存在

 民放で昨年度の個人全体視聴率とコア視聴率の全日帯(午前6時~深夜0時)のトップはともに日テレだった。当然、CM売上高も断トツで、約2369億800万円を記録した。

 無料配信動画サービス「TVer」などの広告売上高も伸びてはいるものの、その金額は各局のCM売上高の30~50分の1程度に過ぎない。日テレの場合、昨年度のTVerなどの広告売上高は約51億4600万円だった。

 だから、日テレにとって櫻井はありがたい存在なのだ。高視聴率番組として知られるテレビ朝日「報道ステーション」(月~金曜午後9時54分)の場合、10月23日放送の個人全体視聴率は5.1%で、確かに高いものの、若い視聴者は少なめでコアは2.0%。スポンサーは若者からミドル世代を強く望んでいるから、「news zero」のほうが儲かるのだ。

 ほかにも櫻井続投の理由として考えられることがある。「news zero」は報道局がつくる定時ニュースではなく、ニュース番組であり、スタッフはワンチームなのだ。仮に日テレの政治部や社会部に反感を抱く人がいようが、「news zero」のプロデューサーや仲間たちが櫻井を守り続ける限り、降ろされない。櫻井のキャスター歴は17年を越えたから、スタッフとの絆は強いはずだ。

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