人権問題をはらむヒンズー教至上主義よりヤバいのは…経済に自信を深めるインドの落とし穴

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インド経済の最大の魅力は旺盛な購買意欲

「迅速に意思決定し、バスに乗り遅れないように望んでいる」

 インドのピユーシュ・ゴヤル商工相は10月27日、日本経済新聞のインタビューでこのように述べ、日本企業に対して同国への投資拡大を呼びかけた。

 人口で世界第一位になったインドは今後、中国に代わって世界経済を牽引する存在になるとの期待が高まっている。ゴヤル氏によれば、インド経済は毎年6~7%の成長を続け、国内総生産(GDP)は8年ごとに倍増し、25年後には25~30兆ドル(約3700~4500兆円)になるという。

 インド経済の最大の魅力は旺盛な購買意欲だ。GDPに占める個人消費の割合は5割を超えると言われ、新興国の中では突出して高い。

 ゴヤル氏の呼びかけに呼応するように、日本企業のインドへの投資は製造業以外の分野にも広がりを見せている。住友不動産は総事業費5000億円を投じ、オフィスビルやホテルなどを備えた複合型の不動産開発をムンバイ中心部で進めることを決定した(10月17日付日本経済新聞)。

戦略の効果、米中対立…複数の追い風を受けるインド

 インド経済にとってのアキレス腱は製造業の競争力の低さだと言われてきたが、インド政府が2014年に提唱した「メーク・イン・インディア(世界から投資を呼び込むことで製造業を発展させる)」戦略がその効果をようやくあらわし始めている。

 インドの昨年度の新車販売台数は、日本の438万5649台を上回る485万2582台(前年比28%増)で世界第3位だった。各国が電気自動車(EV)工場の誘致で競争を激化させる中、このことが強みとなってインドの存在感が高まっている。スズキのインド子会社マルチ・スズキが西部グジャラート州でEVの現地生産に着手した(10月19日付日本経済新聞)のはその好例だ。

 米中対立も追い風だ。インドは「新たなサプライチェーン(供給網)の受け皿になれる」ことを猛アピールしている。今年7月に開かれた半導体産業の振興イベントに登壇したナレンドラ・モディ首相は「世界最大の民主国家であるインドほど信頼できるパートナーはない」と訴えかけた。

 技術力の高さも示し始めている。世界知的所有権機関(WIPO)が11月6日に発表した世界の特許出願件数によれば、昨年のインドは5万5000件(前年比32%増)で英国などを抜き、順位を9位から7位に上昇させた。

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