岩井明愛・千怜の双子姉妹が大活躍 欧州、米国でも「双子ゴルファー」が強い理由
初挑戦で優勝
姉のアンナがオーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権で優勝トロフィーを掲げながら行った初々しい優勝スピーチは印象的だった。
「幼いころから私はマスターズをテレビ観戦したことは一度もなかった。でも、2019年にタイガー・ウッズが復活優勝したマスターズを見て感銘を受けました。このオーガスタ・ナショナル女子アマを知ったのは去年のことでした。友だちが出ていたので知って、次は私も出ようと思い、今年、初挑戦しました」
彼女は顔をすっぽりと覆うバケツ型の白いバケットハットを被ってプレーし、勝利を掴んだこともちょっとした話題になった。SNSでは「バケットハットはラッキーハット」と讃えられ、同じようなバケットハットを被っているPAGツアー選手のジョエル・ダーメンは「アンナ、優勝おめでとう。これでアナタもバケットハット軍団の仲間入りだ。どこかで会える機会を楽しみに待っているよ」と祝福のメッセージを送っていた。
あのときアンナは、自分に双子の弟がいることをわざわざ口にしてはいなかった。だがそれは、あの場所がオーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権という女子の大会だったからであり、アンナ&ビリー・デイビスという男女の双子の存在が米アマチュアゴルフ界ではすっかりお馴染みだったからに他ならない。
姉アンナも弟ビリーもカリフォルニア州のハイスクール卒業後は、ゴルフの名門として知られるアラバマ州のオーバーン大学へ進むことが決まっている。アンナは女子ゴルフ部、ビリーは男子ゴルフ部の主力メンバーとして、米カレッジゴルフ界を席捲することはほぼ間違いなしである。
双子が強い理由
日本では岩井姉妹、欧州ではホガード兄弟、そして米国では男女のデイビス姉弟。なぜ双子のゴルファーの活躍が目覚ましいのだろうか? その理由を遺伝子学的、あるいは医学的に解説することは私にはできないが、「きっとこういうことだ」と言えることはある。
双子がゴルファーとして育ってきた環境が、2人をともに向上させる相乗効果をもたらしているのではないだろうか。つまり、どちらかが腕を上げれば、それを手本としてもう1人も腕を上げ、どちらかが調子を落とせば、もう1人はそれを反面教師として自分はそうならないよう努力するということだ。お互いの存在が「よし、頑張ろう」と奮起するモチベーションとなり、お互いに切磋琢磨し、競い合ったり、励まし合ったり、分析し合うことや評価し合うことも可能になる。良き手本、良きライバル、良き友が常に傍にいることが、お互いに大きな助けになっている。
岩井姉妹の場合は2歳下の弟・光太くんも加わり、幼いころからいつも3人で走ったり球を打ったりしてきたそうで、「毎日が合宿でした」と父・雄士さんは振り返っていた。
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