レンズメーカー「タムロン」歴代2社長が巨額の私的流用 69歳「前社長」が海外出張にも同伴させた女性「S」の正体
結婚式にも参列
ここから先の記述は極めて興味深い。まず、特別調査委員会は「鰺坂氏が海外出張に何度もS氏を同伴させ、同じ部屋に泊まっている」ことに着目した。
さらに、鰺坂氏に「Sさんの子供が鰺坂氏の子供ではないと否定する理由」について訊いたところ、真っ先に「顔が似ていない」と答えたことも不自然だとしている。そもそも普通なら「男女の関係にない」ことを理由に挙げるからだ。
クラブでの鰺坂氏とS氏の“スキンシップ”は過剰で、「2人のことを見るのは憚られた」という証言もあった。他のポイントも以下に列挙しよう。
◆会社貸与のSuicaをS氏に再貸与し、チャージ代金はタムロンが負担した。
◆役職員に命じ、S氏の誕生日プレゼントやブランド品、子供服の購入を手配させていた。
◆従業員とその妻と会食をする際、S氏を同伴させた。
◆従業員の結婚式にS氏とその家族を参列させた。
こうした“証拠”から、特別調査委員会は《一般のホステスと客との関係に留まるものではなく、もう一歩深い、恋人あるいは愛人関係にあったと認めるのが相当である》と結論づけている。
ちなみに、鰺坂氏が懇意にしていた女性はS氏の他にいなかった可能性が高く、聞き取り調査で「一途である」と評した関係者もいたという。
小野元社長の豪遊ぶり
鰺坂氏は今年6月、ハワイに出張した。この際にS氏を同伴させているが、その詳細も明らかになった。
5月28日、鰺坂氏は「ハワイ(秘)」というメールを送った。「ハワイのホテルの部屋はスウィートルームですか?最初の数日のみ2人でも大丈夫ですか?」という内容だった。鰺坂氏は委員会に「(秘)」の意味を問われ、「やってはいけないことと認識していた」と答えた。
報告書では他にも「2019年のラスベガス・ロサンゼルス出張」、「2018年のドイツ・フランス出張」、「2017年のバンコク出張」などでも鰺坂氏がS氏を同伴させた事実を明らかにしている。
元社長の小野氏の“豪遊”に関しても報告書には記載されている。まず《小野氏による単独飲食費》の内訳を見てみよう。
《ほとんどがクラブD、ラウンジX、クラブB及びラウンジEのいずれかで行われて》いるという。
金額は、クラブDでは1回あたり約1万5000円から約23万円で、総額約4100万円。ラウンジXでは1回あたり約3万円から約40万円で総額約8800万円。クラブBでは1回あたり約2万円から約21万円で、総額約260万円……。
さらに、ホステスを同伴して飲食した費用もタムロンに負担させ、2013年から18年の6年間で373件、約9200万円に達したという。小野元社長は酒が呑めないが、《女性からねだられるがままに料理や酒を注文していた》そうだ。
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