「ユニバーサルエンターテインメント」社長の「65億円裏金」疑惑 元執行役員が実名告白
2段階の請求書
岡田証言を土台に、19年8月、富士本社長に対する「4350万ドル送金問題」の株主代表訴訟が東京地裁に提起された。この送金問題について、UEの執行役員経営企画室長だった竹内東司氏が告白する。
「21年の12月20日と21日の2日間にかけて、I弁護士と富士本社長の尋問が行われました。その1週間ほど前、富士本社長とI弁護士、中国ビジネスのコンサルタントであるSさんとの会食がセットされた。東京・青山のイタリアンで3人がテーブルを囲んだのは12月14日です」
その3日後の12月17日付で、S氏の香港法人がUEに、市場調査費として1100万円の請求書を送付。それには、I弁護士が代表のコンサル会社がS氏の香港法人宛てに、会食当日振り出した同額の請求書も添付されていた。
「I弁護士がSさんの下請けを担い、その費用を請求した格好が取られていました。結果として、I弁護士がSさん経由で、UEの1100万円を手にしたわけです。その請求書の支払いは経営企画室の担当でした。事前に、富士本社長から私は“Sさんから請求書が届くから払っておいて”と申し渡されていました」
いざ、株主代表訴訟の証言台に立ったI弁護士。原告の代理人弁護士からの「なぜ、4350万ドルが振り込まれたのか?」との質問に、「そのまま全額をSさんに預けるようにUEから依頼されたが、それをSさんがどのように使ったのかは把握していません」などと答弁した。また、S氏に預けたという裏付けの類も一切、明かされなかった。
「そこで持ち上がったのが、富士本社長による“証人買収”の疑いです。4350万ドルの行方について、I弁護士から富士本社長に“還流”したとの見方が否定できませんでした」
「週刊新潮」2023年11月9日号「MONEY」欄の有料版では、4350万ドル送金問題に関する竹内氏の証言とUEの見解を詳報する。
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