「子どものために改装を指示していた」 サントリー新浪社長、総額10億円の「高級コンドミニアム」を私物化か、元役員が証言

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まるでカルロス・ゴーン

 新浪氏には「4回の結婚歴」があり、“3人目の妻”は九州にある巨大学校法人グループのご令嬢である。

「新浪さんには“3人目の奥さん”との間に子どもがいます。私はハワイの物件に同行した時よりも前に、新浪さんが子どもと一緒に公園にいるところにばったり出くわしたことがあるんです。その時、元気いっぱいな様子を見ていたので、ハワイの物件で新浪さんが不動産屋に指示を出しているのを見た時も、“あの子が使うんだったら気を付けないといけないだろうな”と思ったのです」(同)

 新浪氏の“3人目の妻”に学校法人グループを通じて取材を申し込み、「子どもと共にハワイのコンドミニアムを訪ねたことがあるか」などと問うたが、回答はなかった。

 この元役員の証言から浮かび上がってくるのはやはり、新浪氏が「ハワイ豪華施設」を私的に利用していたのではないか、という疑惑である。そこで思い起こされるのは、18年に特別背任などの疑いで立件された日産自動車元会長のカルロス・ゴーン氏。彼は会社の資金を用いて、ブラジル及びレバノンの物件を購入していたことが分かっている。

 元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士が言う。

「新浪さんの件については、会社の金で購入したにもかかわらず完全に私物化して他人に使わせなかったのであれば、特別背任罪の構成要件を満たす可能性があります。ただし、特別背任の時効は7年。コンドミニアムの購入時期から数えるとすでに時効が成立しているので立件は難しいと思われます。しかし、私物化が事実だとすれば道義的な問題が残ることは言うまでもありません」

 やはり「時効」が成立しているものの、「税務上の問題」も指摘できる可能性があるという。

「税務署の調査が入り、コンドミニアムの私物化が認定された場合、それらの部屋はローソン社から新浪さんに贈られた個人的な報酬ということになり得ます。それが個人の所得と判断された場合、新浪さんがきちんと確定申告をしていなければ脱税行為とみなされ、追徴課税などの課税処分が下される可能性はあったと思います」(同)

サントリー、ローソンの回答は

 ハワイに購入した複数の物件は本当に保養施設なのか。なぜそれらは会社HPや有価証券報告書に記載されていないのか。保養施設だとすると、料金や使用申請方法などを記した「利用規約」は存在するのか。社員や役員がそこを実際に使ったことはあるのか。こうした点について改めてサントリーを通じて新浪氏に取材を申し込んだところ、「子どものためにコンドミニアムの改装を業者に指示していた」というローソン元役員の証言について、

「新浪はそのような発言をしたことはなく、また、新浪自身は過去に業務で使用したことはございますが、家族を伴った私的な利用はございません」

 との回答を寄せた。その他については、

「ローソン社様にご確認をお願いいたします」

 とのことだったのでローソンにも聞いたところ、以下のように回答した。

「お問い合わせいただいた5物件について、当社が保養所として購入、保有をしていたことを確認しました。施設の利用状況の詳細については、開示しておりません。これらの物件については、資産価格等当社のガイドラインに則り公表をしていません」

 ローソンの子会社が今もハワイの二つの物件を保有していることからも分かる通り、これは現在進行形の疑惑だ。「保養所」との説明のみで“逃げ”を打つことは許されまい。

 中編では、総額約10億円のコンドミニアムの詳細な情報について、ハワイ現地の不動産業関係者の証言などと併せて報じる。

週刊新潮 2023年11月9日号掲載

特集「サントリー『新浪社長』は『和製ゴーン』か!? 徹底検証『ハワイ10億円コンドミニアム私物化』疑惑」より

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