「ジャニーズ問題」で岸田首相以上の影響力を発揮したサントリー新浪剛史社長に「10億円コンドミニアム私物化疑惑」が浮上
45歳で人生を見つめ直せ
もっとも、その発信力は時に強い反発を招くこともあった。
たとえば2021年の経済同友会の夏季セミナーでの「45歳定年制」に関する発言は大いに波紋を呼んだ。
「45歳定年制を敷いて会社に頼らない姿勢が必要だ」
日本は欧米と比べて従業員の解雇が困難だというのはよく知られた話である。経営者からすれば、長く働いてほしい人材には何歳まででも働いてほしいが、そうでもない人が「45歳」で定年を迎えてくれるのならば、こんなに都合のいい話はないだろう。
しかし、当然ながらこの発言は猛反発を受けてしまい、のちに新浪氏は釈明することになる。それによれば、「定年」という言葉はまずかったと述べつつも、45歳という節目の年に自分の人生を考えるのは大切だ、という主旨だったとのことである。
もっとも、人生の節目の年を会社側に勝手に早めたり決めたりされては堪らない、という人も少なからず存在したことだろう。
「どう言いつくろおうがリストラのための言い訳ではないか」と感じた向きが新浪氏の発言に反発し、不買運動を呼びかける人も現れるなど、SNSは大いに盛り上がったのである。
どの口で人権を
際立った発言が反発を買ったという点では、「チャイルドアビューズ」うんぬんも似ているかもしれない。新浪氏の毅然とした発言には、当初、賞賛の声が上がった一方で、かつての部下たちからは「どの口で人権を言うのか」といった証言が寄せられたのだ。
週刊新潮で紹介したコメントの一部を引用してみよう。サントリーの前に新浪氏が社長を務めていたローソンの元社員の話。
「ローソン社長時代の新浪さんの幹部クラスでのあだ名は“荒波”でした。直情型ですぐにブチ切れて人を怒鳴りつけるなどのパワハラ気質がひどかったからです。(略)“どの口が人権なんて言うの?”と思っているローソン関係者は多い」(10月5日号)
「会議の場で、売り上げの数字などが思ったように伸びていないとの報告があると、新浪さんは自分の携帯をその部署の担当者に投げつけるのです」(10月12日号)
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