【創価学会元理事長・長男の苦悩】修学旅行でお土産に買ったダルマを母親に捨てられ…信心はなくなっても学会はやめない事情

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退会すると人間関係が悪化する

 伸城氏自身は、公明党に疑問を感じつつ職員を続ける中で、パニック障害とうつ病を患った。休職の後、35歳で退職する。父親をはじめ家族からは猛反対を受け、説得に1年ほどかかったという。転職活動では他業種での経験がない元創価学会職員という点がネックになったようで、200社以上から断られ、苦労した。

「いまはもう信心はなく、池田大作氏に対する特別な思いもありません。創価学会の活動もしていません。でも、退会はしていないんです。先日、創価学園時代の友人が会いに来てくれたんですが、第一声が『もし正木が退会してしまったら会えなくなると思って、確かめに来た』と言うんです。退会すれば、両親や親戚も“退会者を出した家”と見られ、創価学会内での人間関係が悪くなる。退会しなくても生活上変わりはないのに、そこまでするメリットがないかなという思いです」

 逆に言えば、退会した場合のデメリットが大きいということだ。信心はないが学会に籍を残しておいたほうが利がある。そう思わせているのも、伸城氏を幼少期から取り巻いてきた信者間の同調圧力ではないだろうか。

藤倉善郎(ふじくら・よしろう)
ジャーナリスト。1974年生まれ。宗教団体以外も含めた「カルト」の問題を取材。2009年にはカルト問題専門のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」を創刊し、カルト被害、カルト2世問題、カルトと政治の関係、ニセ科学やニセ医療、自己啓発セミナーの問題などの取材を続けている。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島SUGOI文庫)。

デイリー新潮編集部

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