FA藤浪晋太郎の微妙な立場 やはりネックとなるのは…米国人記者は「阪神に帰るのか?」
「先発をやりたい」
また、オリオールズ全体で見てみると、今オフ、FAとなった選手は藤浪を含めて5人。前年オフに獲得した内野手のアダム・フレイジャー(31)、先発のカイル・ギブソン(36)、シーズン途中にやってきたのが外野手のアーロン・ヒックス(34)、投手のジャック・フラハティ(28)、そして藤浪だ。5人とも高い成績は残していない。しかし、今シーズン終了となる地区シリーズ敗退後の10月13日、ハイド監督は、
「彼らはクラブハウスの重要な部分だった。彼らは若手選手に対し、本当に大きな影響を与えてくれた」
と“加入選手たち”に労いの言葉を掛けていたが、このコメントの内容に残念ながら藤浪は当てはまらない。
藤浪はチームのリーダー的存在でもある正捕手のアドリー・ラッチマン(25)に何度も救われ、かつチームスタッフにも「直球勝負で行こう。FUJIのスピードなら絶対に打たれない」と励まされるなど、どちらかと言えば、「影響を与えてもらっている側」だった。地元では「フレイジャー、ヒックス、ギブソンはまとめ役として残るのではないか」と見ていたが、昨年オフも3人の中堅・ベテラン選手がFAになったとき、オリオールズは引き止めなかった。その実績から「5人ともいなくなる」と予想する関係者は多いという。
「藤浪は先発でやりたいと、もらしているようです。先発投手を探しているチームはたくさんありますが、藤浪の“ノーコン病”は一度出ると止まらなくなるので、彼の望むような契約は難しいと思います。マイナー契約ならともかく」(前出・同)
そんな藤浪はいち早く帰国し、甲子園球場で行われた日本シリーズ第3戦を観戦した。古巣・阪神タイガースの元同僚たちだけではなく、対戦したオリックスには大阪桐蔭高時代にバッテリーを組んだ一学年後輩の森友哉(28)もいた。
「甲子園は凄いですね。独特な雰囲気というか、この地鳴りのような、地面がうなるような。甲子園独特のものだと感じました」
各メディアにそんな感想を寄せていた。感慨深げな表情はまるで4、5年は会っていないといった雰囲気だった。たしかに、メジャーリーグ入りした2023年の1年間で「数年分の出来事」を体験したとも言える。
前出の米国人ライターや現地記者に藤浪が帰国していることを伝えたら、「阪神に帰るの?」と聞き返してきた。来季、どのチームで投げることになるのか。藤浪にとって、難しいオフになりそうだ。