「普段からやくざとの付き合いをほのめかしていた」 貴乃花が知人に送った〈わたしはかたぎの血筋じゃない〉との“脅迫メール”の中身とは
提訴に至った経緯
この間、野村氏側は時間をかけて、繰り返し貴乃花に債務の返済を迫ってきた。訴状の一部を引用しよう。
〈原告(アルテカ)は、平成27年3月16日、支払催告書を送付し、具体的な返済計画を提出するよう再三求めたが、被告(貴乃花)から何ら返済計画の具体的な回答はなかった〉
さらにこう続く。
〈そこで、原告は、やむを得ず、平成27年11月20日、本件債務及び公租公課・火災保険料の立替金の支払いを求めて東京簡易裁判所に調停を申し立て、同手続内における被告との話し合いによる解決を目指した。同調停手続内において、被告は債務額の一部を否認し、全額の支払いを拒んだが、原告は忍耐強く同手続内での話し合いを継続した〉
訴状によると調停内で貴乃花は、自宅を売却しその代金をアルテカへの支払いに充てると提案。さらに相撲協会の退職金も債務の支払いに充てる等の申し出を行ったというが、
〈いずれも残債務の免除を条件としており、本件債務額に比して支払額が極めて少額なため、到底原告が応じられるような提案ではなかった。原告は、被告の立場を最大限考慮して、できる限り穏便に本件を解決すべく、5年以上にわたり同調停手続での話し合いを続けたが、被告から誠意ある提案がなされることはなく、同調停手続は、令和3年3月3日、調停不成立により終了した〉
こうして21年3月16日に東京地裁への提訴に至ったというのだ。もっとも、
「貴乃花は第1回口頭弁論の直前になって支援者らに朝から電話を掛けてまわり、なんとかならないかと泣きついた。それで関係者が動いた結果、両者が話し合いを持ち、手打ちと相成ったのです。その年の6月に、訴え自体も取り下げられています」(前出・知人)
野村氏本人に確認すると、
「(訴訟については)お答えできないが、現在、(貴乃花との)関係は良好です」
と述べるにとどまった。
携帯も解約
だが、ある貴乃花の支援者は次のように証言する。
「自分は貴乃花とは10年弱の付き合いだったけど、約2年前から連絡が途絶えた。なので、再婚も知りませんでした。共通の知り合いからも“急に連絡ができなくなったけど、なにか知らないか”と言われたので、同じ時期に一斉に関係を絶ったのでしょう。貴乃花は携帯を2台持っていたのですが、皆に番号を教えていた方の携帯はすでに解約しているようです」
そしてこう嘆息する。
「彼は素朴で純粋な人。相撲協会を辞める時も協会の不正を許せず、政治的な動きを嫌ったから。自分の決めたことには敢然と突き進む一方で、周囲とは調和できない。彼が支援者たちと決別を繰り返すのも“信念”に従ったからで、きっと悪気はないのでしょうが……」
当の貴乃花や藤川氏に今回のトラブルについて真意を尋ねたが、期限までに回答はなかった。メグも、
「契約上の秘密保持条項との兼ね合いから回答は控えざるを得ません」
〈ハナニアラシノタトヘモアルゾ「サヨナラ」ダケガ人生ダ〉とは作家、井伏鱒二の名訳による唐代の詩「勧酒」の一節である。
本人は孤高の相撲道を貫いているつもりでも、大横綱に夢を託してきた多くの人々の目には、自ら「サヨナラ」だけの人生にしている生き方はあまりにも虚しく、理不尽に映るのである。
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