「柿沢未途側から買収をもちかけられた」 江東区長の公選法違反疑惑で現職区議が緊急証言

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「嫌悪感を示す人も」

 地元・江東区(東京15区)選出の元衆院議員で、内閣府副大臣などを務めた「キムベン」こと勉氏(84)を父に持つ彼女は、自らも2014年から21年まで自民党所属の衆院議員だった。

 その時の縁で、かつての同僚だった野田聖子元総務相(63)や稲田朋美元防衛相(64)が支援を表明。また小池百合子都知事(71)が衆院議員時代、同じ議連や勉強会で共に活動してきた関係もあって、今回、都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の都議が木村支持に回っていた。

 そんな木村陣営の中にあって、黒子に徹して中立を装っていた政治家が柿沢氏だったという。

 しかし、特捜部の捜査を受けて木村支持どころか“選挙の指南役”であることがあらわになってしまった柿沢氏。渦中の人となったのは、政治家としての複雑な来歴も関係している。

 柿沢氏の父は主に江東区を地盤とした衆院議員で、09年に亡くなった弘治氏。自身は東大法学部を卒業後、NHK記者を経て無所属で都議選に出馬。のちに民主党所属となったが、酒気帯び運転で事故を起こして08年に辞職。09年の衆院選でみんなの党から出馬して初当選を果たした。

 政治部記者の解説。

「これまで都議を2期務めて衆院は5期目。江東区では圧倒的な知名度を誇っています。いくつもの野党を渡り歩き、前回の衆院選で地元である東京15区から無所属で出馬。自民党の候補者を破った末、当選後は追加公認される形で自民党入りを果たし、15区の支部長のみならず副大臣の椅子まで手に入れました。外様がとんとん拍子に江東の主になった形ですから、根っからの自民支持者の中には嫌悪感を示す人もいます」

 そうした因縁は、先の区長選が、自民党系候補二人の一騎打ちとなる「保守分裂選挙」の構図となったため、さらなる大きな対立へとつながっていくのである。

内ゲバと化した選挙戦

 区長選における木村氏の対抗馬は、都議を4期務めた山崎一輝氏(50)で、父親は区長選告示日直前の今年4月に膀胱がんで亡くなった前区長の孝明氏(享年79)。自民党都連の重鎮で、23区の区長でつくる特別区長会の会長でもあった孝明氏は、豊洲の新市場や五輪会場の問題などで、小池都知事に物申せる区長として存在感を放ってきた。

 いざ選挙戦が始まれば、前述の通り木村氏には自民の女性政治家が支援を表明したが、対する山崎陣営は、菅義偉前首相や自民党の茂木敏充幹事長ら大物政治家が続々応援に駆け付けた。

 丸川珠代都連会長代行に至っては、出陣式で「自民推薦で闘うのは山崎候補ひとり!」と絶叫してみせた。

「地元の区議をはじめ自民支持者からすれば、今回の区長選は志半ばで亡くなった孝明さんの弔い合戦なわけですよ」

 とは自民党関係者だ。

「もともとは孝明さんが出馬する予定でしたが、体調不良で断念し、息子の一輝さんが候補者となった。長年、孝明さんと親しかった萩生田光一都連会長が党の推薦を取り付けて、オール自民で闘おうと柿沢さんにも支援を呼びかけたのですが、柿沢さんは態度を鮮明にしないどころか裏では木村陣営の応援に回っていたわけです」

 まさに自民の内ゲバと化した選挙戦で、柿沢氏は何をしていたのか。

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