“猫のケンカ”を見習えでウクライナ大使館を激怒させた「カタログハウス」 かつては辻元議員の大スポンサー 独善的なセンスに識者もあ然

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ウクライナを侮蔑

 カタログハウスの謝罪文をセルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使がXに写真で投稿すると、《謝罪になってない》、《謝罪どころかロシア援護》、《悪意が滲み出てる》──と抗議の投稿が殺到し、その画像が拡散されているのだ。

 もちろん謝罪文には代表取締役である斎藤憶良氏の名前が明記されている。批判の対象となった部分を引用しよう。

《ロシア軍による空爆、砲撃は今も止みません。これ以上、ウクライナの皆様のかけがえのない命が奪われないために、私たちはいま何をなすべきか》

《「ウクライナの名誉を守るかたちでの停戦」を第三者国が提案する時期がやってきたと考えました。通販生活23年冬号で“いますぐ戦争をやめさせないと”という特集を組みました》

 ウクライナの自衛戦争を「ケンカ」という不適切な言葉で表現したことは謝る。だが、特集記事や停戦の提案に問題があるとは思っていない──こういう居直り、開き直りの文面と受け止められても仕方ないだろう。

 米ソ東西冷戦研究の第一人者で防衛大学校名誉教授の佐瀬昌盛氏は「ニュースを見落としていたこともあり、『通販生活』の誌面内容を聞いてもいまだに信じられません」と驚く。

「改めて申し上げますが、小国のウクライナは、大国で核保有国のロシアから侵略され、必死で自衛戦争を戦っています。現行の国際法では、ウクライナの自衛権発動は100%正しい行為です。ウクライナの人々は軍人であれ民間人であれ、毎日、誰かがロシア軍に殺されています。こうした苛酷な状況を『通販生活』の方々は正しく認識しているとは思えません。あの表紙では『ウクライナ人の死者などどうでもいい』と主張しているとしか読めず、ウクライナ国民が『我々を侮辱している』と憤りを覚えても不思議ではないでしょう」

独善的なセンス

 ロシア・ウクライナ戦争を読み解く“センス”にも日本独自の旧左翼らしい欠陥があるという。

「戦争のリアリズムを歴史や国際法から直視することを避けています。その代わり、斜に構えるというか、ウクライナで起きていることをちょっとひねった視点で取り上げ、それで本質を突いたような気になっているのでしょう。しかし、そんな独善的なセンスは、ウクライナ軍の戦死者だけでも約7万人という事実の重みには耐えられません。通販カタログ誌だそうですが、少なくともロシア・ウクライナ戦争を報じようと決めたのなら、メディアの一員でしょう。そしてメディアならば、ウクライナだけでなくロシアでも夥しい死亡者が出ているという事実に負けないだけの報道をしなければなりません」(同・佐瀬氏)

註1:カタログハウス/社長に斎藤取締役/松尾社長は相談役に就任(日本流通産業新聞:2022年4月9日)

註2:ザ・特集:「通販生活」の思想 創業者・斎藤駿さんに聞く(毎日新聞:2011年12月22日)

註3:戦争 原発 沖縄差別「まっぴら」 「通販生活」特集批判に回答 「平和だからこそ買い物できる」(東京新聞:2016年11月10日)

デイリー新潮編集部

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