“猫のケンカ”を見習えでウクライナ大使館を激怒させた「カタログハウス」 かつては辻元議員の大スポンサー 独善的なセンスに識者もあ然

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反原発CM

 先に触れたように、「通販生活」はこれまでに何度も誌面で物議を醸してきた。その代表的なものを振り返ってみよう。

 朝日新聞は06年2月15日、「『通販生活』付録の憲法特集に賛否 『改憲反対行動に感動』『思想まで通販するな』」との記事を朝刊に掲載した。

「通販生活」05年秋号は、岩波書店が発行するブックレット『憲法を変えて戦争へ行こうという世の中にしないための18人の発言』が別冊付録だった。

 同誌は付録の賛否を問い、06年春号に読者からの声を掲載した。結果は、賛成259人、反対87人。それぞれの意見を一例ずつ紹介しよう。賛成派は「憲法改悪に反対するための企業行動と知って感動しました」、反対派は「真に不快極まりないものでした。……良質な商品を紹介する雑誌に徹すべきではないでしょうか」というものだった。

 11年には原発の是非を問う「国民投票」を呼びかけるCMを「報道ステーション」で流そうとしたが、テレビ朝日に断られた。

 テレビ朝日はCMを断った理由として、《報道番組のCMは番組内容と混同されないようにする》、《社会・公共の問題で意見が対立しているものについては、できるだけ多くの角度から論じる》という日本民間放送連盟の基準に抵触する恐れがあるためと説明した(註2)。

謝罪ができない「通販生活」

 16年夏号では参院選の特集記事を掲載し、「自民党支持の読者の皆さん、今回ばかりは野党に一票、考えていただけませんか」と訴えた。

 これには、「あまりに強い政治色」、「買い物雑誌に似つかわしくない」、「通販生活と分けて作るべきだ」といった批判が殺到した(註3)。

 同誌は11月発行の同年冬号で「編集部のお答え」を掲載し、《お金もうけだけ考えて、政治の話には口をつぐむ企業にはなりたくないと小社は考えています》と反論。

 さらに、戦争、原発、沖縄差別は《まっぴら御免》とし、《政治的主張はざっとこんなところです。こんな「まっぴら」を左翼だとおっしゃるのなら、左翼でけっこうです》と開き直った。

 ここで気になるのは、謝罪の形を取りながら全く反省していない回答があったことだ。全文を紹介しよう。

《良質の商品を買いたいだけなのに、政治信条の違いで買えなくなるのが残念、と今後の購読を中止された方には、心からおわびいたします。永年のお買い物、本当にありがとうございました》

《今後の購読を中止された方》に謝罪した文章のはずだが、むしろ嫌味、もしくは捨て台詞のような印象を受けた人も少なくないだろう。

 今回のウクライナの問題でも、カタログハウスは公式サイトで謝罪の文書を在日ウクライナ大使館に持参したことを明らかにした。ところが、これが逆に批判の対象となってしまったのだ。

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