“大英博物館”から相談も…「まんだらけ」古川益蔵会長に聞く、国主導の“マンガ原画保存” 「日本人は海外で評価されないと価値が分からない」

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漫画家を目指す若い人たちは原画を見るべきだ

――古川会長はまんだらけを始める前は、漫画家としても活躍されていましたよね。それゆえ、原画に思い入れもあるのではないかと感じました。

古川:僕は子どもの頃から漫画家になりたくて、雑誌に投稿していたら、18歳のときに『COM』(注:手塚治虫が経営していた虫プロ商事が出版していた漫画雑誌)の新人賞に入選しました。上京して練馬の虫プロに行ったとき、手塚治虫さんの原稿を見せてもらい、あまりの美しさに感動しました。別の機会に石ノ森章太郎さんのもとを訪れた時にも、アシスタントの方がこれで勉強しなさいと原稿を見せてくれた。単行本でも素晴らしいと思っていた場面が、原画だと迫力が段違い。それはもう、素晴らしかったですね。50年以上経った今でも身に染みていて、忘れることができません。

――ご自身の原稿と比べてどうでしたか。

古川:僕はそれまで、自分は漫画が上手いと思っていたんですよ。でも、プロの原画を見て、ああ、自分はぜんぜん下手だとわかった。プロはなんて凄いんだろうとショックも受けたけれど、もっと絵を上手くなろう、修業しようと思えました。

――古川会長は、今でも買い取りに持ち込まれた原画を見て感動することはありますか。

古川:ありますね。手塚治虫さん、平田弘史さんは特にいい。あと、宮﨑駿さんは段違いで上手い。正直、売りたくないものがあるくらいだからね(笑)。

――私の周りでも、漫画家やアニメーターを目指したいという子どもが増えていると実感します。古川会長の話を聞き、私も原画や色紙のコレクションをしまい込むのではなく、子どもたちに見てもらう機会を作るのもいいのかな、と思いました。

古川:それは凄くいいんじゃないでしょうか。今はCGで絵を描く人も増えていますが、ぜひ生の原画を見て欲しいですね。漫画家を目指している人なら感動すると思うし、感じ取るものがあると思いますよ。そこから刺激を受けて未来の漫画家が生まれたら、素晴らしいことじゃないですか。

山内貴範(やまうち・たかのり)
1985年、秋田県出身。「サライ」「ムー」など幅広い媒体で、建築、歴史、地方創生、科学技術などの取材・編集を行う。大学在学中に手掛けた秋田県羽後町のJAうご「美少女イラストあきたこまち」などの町おこし企画が大ヒットし、NHK「クローズアップ現代」ほか様々な番組で紹介された。商品開発やイベントの企画も多数手がけている。

デイリー新潮編集部

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