“大英博物館”から相談も…「まんだらけ」古川益蔵会長に聞く、国主導の“マンガ原画保存” 「日本人は海外で評価されないと価値が分からない」

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海外では博物館が原画の購入を始めている

――実際、海外の博物館が手塚治虫先生の私家本をまんだらけのオークションで落札したり、大英博物館がまんだらけの所蔵する手塚先生の『新寳島』を欲しいと言ってきたりしたそうですね。こうした動きはいつ頃から起こっているのでしょうか。

古川:世間的にはあまり知られていませんが、結構前からありますよ。博物館には資料を蒐集する専任の学芸員がいますよね。海外の博物館では、学芸員がコレクションの蒐集対象の一つに日本の漫画を加えているのでしょう。例えば何十年か前に、メイド・イン・オキュパイド・ジャパンの品物(注:戦後の米軍占領下の日本で制作された玩具など)を集めている海外の博物館がありましたが、その中の漫画のコレクションには国内にないものが結構あるんですね。漫画の原画に限ったことではなく、ヴィンテージのおもちゃなども良いものは海外に流出していますから、今度、日本にはものがないけれど海外にはある、という例が増えてくるのではないでしょうか。

――日本の公的な博物館からは、原画やセル画を集めたいという依頼はありますか。

古川:個人で漫画の博物館をつくりたいという人からは、依頼があります。例えば、手塚さんの古い単行本が欲しいといったお願いですね。けれども、公的な博物館や美術館からは、原画の真贋の鑑定などの形での照会はありますが、集めて欲しいなどの依頼はゼロですね。

――既存の博物館にそういった動きがないのが残念です。

古川:公的な博物館は漫画に割くお金もあんまりないんでしょうね。価値が認められた日本画や浮世絵にならお金は回せるけれど、漫画には予算が出ないのでしょう。僕は、まだまだ国内では、漫画に対する評価は低いと見ています。海外で評価されないとその価値がよくわからないというのは、日本人の性格なんでしょうね。

――なんだか、明治時代に日本画や浮世絵が海外に買われたのと同じ状態になっていますね。

古川:僕は、求める人がいるところに品物が行くと思っている。日本人が漫画やアニメの価値を認めるまでに至っていないので、海外に流出してしまっているというのが本当のところだと思いますよ。もし、政府や文化庁が、本気で原画やセル画を蒐集するのであれば頑張って欲しいと思いますが、時既に遅しではないかとも感じます。

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