レスに悩み、不倫に走った47歳夫は大きな勘違いをしているのか どうしても気になる妻の一言と元カレの呪縛

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前編【妻と交際するため当時の彼氏に100万円払った47歳夫の告白 「後ろめたさを感じながら結婚しようと…」】からのつづき

 菅原晃大さん(47歳・仮名=以下同)は、趣味の落語を通して千紘さんと親しくなり、恋心を抱いた。しかし、彼女には恋人がいた。何とか略奪できないか晃大さんの自宅に、ある日、見知らぬ男が訪ねて来た。40歳前後と目されるその男は千紘さんの恋人で「100万円で彼女を譲る」と言う。怒りを覚えた晃大さんだったが、千紘さんを思えばと金を支払い、結果、2人は結婚することになった。

 ***

 結婚したのは晃大さんが29歳、千紘さんが28歳のときだった。ふたりで新居を探し、ふたりで引っ越しをし、新しい生活を始めた。翌年には長女が生まれ、その3年後には長男も生まれ、4人家族になった。千紘さんは長男出産後に仕事を辞めた。

「子どもがふたりになって『今は子育てに専念したい』と彼女が言い出したので、それもいいよねと。そのあたりまでは円満だったんですけどね……」

 彼は突然言いよどんだ。必死にふたりの子を育てている妻が、自分のめんどうを見てくれないとか自分に関心がなくなったのではないかと言い出すのかと、ついこちらも身構えてしまう。ところが彼の口から出たのは意外な言葉だった。

「二人目の出産を機に、彼女がまったくセックスをしたがらなくなってしまったんです」

「ごめんね、疲れきってて」

 長男が生まれて数ヶ月後、それとなく誘ってみると「ごめんね、疲れきってて」と謝られた。

「なんとなく謝られたのが傷つきましたね。謝る必要ないよと言ったけど、声が尖っていたかもしれない。そのときから僕は誘えなくなり、彼女も夜になると何かと用を思い出したようにキッチンに戻ったり、子どもと一緒に寝てしまったり。一人目が生まれたあとは、『子どもをなるべく早くひとりで寝られるようにしよう』なんて言ってたのに。なぜ妻が変わったのかよくわからなかった」

 小さい子を二人抱えていたら、そんな気分にもならないのかもしれないと自分に言い聞かせた。納得はできなかったが、妻はそれ以外の場面ではまったく変わらなかったから、育児の大変さのせいにするしかなかったのだ。

 だが気づくと1年間、レスが続いていた。このままでいいのかと彼は悩んだ。

「あるとき、この1年間、僕らまったくしてないよと言ったんです。でも妻は聞こえないふりをした。『あ、ごめん』と寝室を出ていき、しばらくたって戻ってきて『なんだっけ、さっきの話』って。いや、もういいと言うしかなかった。なんというか、ものすごく寂しかった。心の底から不安が襲ってくるような感じで、布団をかぶって背を向けるしかありませんでした」

 それでも日常生活で妻に話しかけられれば、ごく普通に会話を進めた。あんなことを気にしている小さな男だと思われたくなかったのかもしれない。

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