妻と交際するため当時の彼氏に100万円払った47歳夫の告白 「後ろめたさを感じながら結婚しようと…」
「100万円で譲るよ」
「ある日、帰宅したら僕が住んでいたアパートの前に男が立っていたんです。40歳前後かな、僕から見たらかなりの大人でした。『あんた、千紘が好きなのか』といきなり言われました。千紘の彼氏だったんです。怖くて震えましたが、相手が闘いをしかけてきたなら受けて立つしかない。『好きです。つきあいたいと思っている』と答えたら、『100万円で譲るよ』って。びっくりしましたね。つきあっている女性をそんなふうに譲ったりします? どういう価値観の男だよと思ったら腹が立ってたまらなかった。『あんたに彼女とつきあう資格はない。おれがつきあう。あんたはさっさと別れてくれよ』とわざと語調を荒くした。膝はガクガクしてましたけど」
だから100万くれたら別れてやるよと彼はしつこかった。こんな男とつきあっている彼女が不憫だった。どうしようと彼の頭が必死に計算を始めた。彼女に言うわけにはいかない。だが100万渡したら、本当に別れてくれるのか確証はない。
「もういいや、と。彼女のためになるなら100万は惜しくない。もし次にゆすったら警察に言う。今回だけだ、オレだってそんな金はないと言ったら、彼はニヤリと笑いました。翌日、定期預金を解約して100万円作って、待ち合わせの場所に持っていった。領収証を書かせようとしたらふざけるなと言われて逃げられました」
泣き出した千紘さん
結局、どこの誰かもわからないままだった。大きな仕事をしたかのような気持ちになり、彼は喫茶店でひとりのんびりコーヒーを飲んだ。彼女に電話をかけて、これから会えないかと聞いたら、「これから彼と会うから」という答えが返ってきた。別れ話になるのだろうか、ならないのだろうかと思うと心臓がバクバクと音を立てた。
「その晩遅く、彼女から電話がありました。結局、彼は来なかった。電話してもつながらない。私たちもうだめかもしれないと。どうやら彼女は、あんな粗暴な年上の男を心底、好きだったんだと気づきました。僕は彼女が彼に支配されてつきあわされているんだと勘違いしていた」
翌日、彼女を呼び出して会うと、いきなり「カラオケに行こう」と言われた。そして千紘さんはカラオケボックスでさめざめと泣いたという。
「彼に別れよう、もう会う気はないと言われたって。『とんでもないヤツだったけど、彼がいないと生きていけない』と泣いている彼女に、何と言ったらいいかわかりませんでした。彼は約束を守ってくれた。でも結局、100万で彼女を売ったわけですよ。僕自身もうしろめたさがあった」
もう彼のことは忘れたほうがいい、僕と結婚しようと彼は言った。彼女は心細そうな表情でうなずいた。
後編【レスに悩み、不倫に走った47歳夫は大きな勘違いをしているのか どうしても気になる妻の一言と元カレの呪縛】へつづく
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