“消費減税”まで検討も「岸田総理」に打つ手なし 早くも浮上する“ポスト岸田”には「元官房長官」と「初の女性総理候補」も

国内 政治

  • ブックマーク

浮上する加藤元厚労相、ダークホースには上川外相も

 他に誰がポスト岸田に名乗りを上げるのか。岸田氏が出馬断念となれば、前回の総裁選に出馬した河野デジタル相や高市経済安保相は立候補を模索するだろう。河野氏はマイナンバーカードの問題はあったが、未だに国民的な人気もある。大きな焦点は「まだ早い。仲間を増やせ」と言い続けてきた、派閥の親分・麻生副総裁が、河野氏を推すかどうかだ。河野周辺は「麻生さんは茂木さんがいいと思っている訳じゃない」と期待を示す。

 一方、党内で多数派を作りやすいと密かに名前が浮上しているのが、加藤勝信元厚労相だ。安倍内閣で官房副長官、菅内閣で官房長官を務め、最大派閥の安倍派から非主流派まで親和性が高い。ネックは加藤氏が茂木派所属で、茂木氏と袂を分かつ覚悟があるかどうか。加藤氏に近いある議員は「本人にも意欲はある」と語るが、当の加藤氏は、「そんな本当かどうかもわからない話。気にしていられないよ」と周囲に無関心を装っている。

 さらにダークホースとして取りざたされるのが上川陽子外相だ。上川氏が所属する岸田派には、ナンバー2として林芳正前外相が控えている。しかし選挙がちらつく中で、「日本初の女性総理」の誕生を待望する声も根強い。自民党中堅議員はこう話す。

「上川氏は、派手さはないが実務能力には定評がある。支持の枠組みはまだ想定できないが、選挙前の窮余の一策として最大公約数になる可能性がある」

政治は危機に対応できるのか

 こうしたポスト岸田に向けた動きはまだ頭の体操レベルだ。しかし動きが表面化してくれば岸田総理のレイムダック化が加速する可能性もある。これに岸田総理が起死回生をかけた解散総選挙で対抗すれば、国政は一気に混乱するだろう。

 国外に目を転じれば、ウクライナ、パレスチナと緊迫する国際情勢、中国の動きも不穏だ。国内では円安、物価高。静かに進む少子化、労働力不足。この危機的な状況の中で、政治が果たすべき役割はとてつもなく大きい。そんな中、岸田総理がどんな策を弄しようと「国民不在の保身」と見透かされたら、手痛いしっぺ返しを食らうだろう。政治は何のためにあるのかが、今問われている。

青山和弘(あおやま・かずひろ)
政治ジャーナリスト 星槎大学非常勤講師 1968年、千葉県生まれ。元日本テレビ政治部次長兼解説委員。92年に日本テレビに入社し、野党キャップ、自民党キャップを歴任した後、ワシントン支局長や国会官邸キャップを務める。21年9月に独立し、メディア出演や講演など精力的に活動している。音声プラットフォーム「voicy」で永田町取材やメディア出演の裏話などを発信している。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。