“消費減税”まで検討も「岸田総理」に打つ手なし 早くも浮上する“ポスト岸田”には「元官房長官」と「初の女性総理候補」も

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「岸田さんは実は消費税の減税も検討していた。もう何でもありなんだよ」

 自民党幹部はあきれ顔でこう嘆く。岸田文雄総理は2日の記者会見では、「消費税減税は今考えてはいません」と強調した。しかし、「税収増を国民に還元する」と言い始めた当初、腹心の木原誠二幹事長代理に減税策の検討を命じ、消費税の減税も俎上に上った。関係者によればこれは、食料品の軽減税率を今の8%から5%に下げ、物価高に苦しむ庶民の負担を軽減するといったものだったということだが、岸田総理は「一度下げるといつ戻せるかわからない」(官邸関係者)消費税減税は思いとどまった。

 結果として減税策は期限付きの所得税住民税の減税と、非課税世帯への給付の組み合わせとなり、財政再建派からは大衆迎合のバラマキと捉えられ、積極財政派からも中途半端な選挙対策と失望を買った。以来、内閣支持率は軒並み発足以来最低を更新し、自民党内からは「岸田総理の終わりが始まった」との声が漏れる。追い詰められた岸田政権の現状を取材した。【青山和弘/政治ジャーナリスト】

選挙が先か、総裁選が先か

 岸田総理の最大の課題は、長期政権を築くために来年9月の自民党総裁選挙を乗り切ることだ。そのためには総裁選の前に、解散総選挙に打って出て「民意」という錦の御旗を手に入れるというのが、当初の基本戦略だった。しかしG7広島サミット後の6月解散を見送り、内閣支持率が下落していく中で、総理周辺にはこのような見立てが出てきた。

「今はポスト岸田に有力な候補がいない。無理に衆院選をしなくても、来年9月の総裁選は岸田続投で行けるんじゃないか」

 8月上旬、岸田総理は側近議員にある依頼をする。それは「自民党総裁選を先に乗り切り、その後総選挙に踏み切った事例を調べて報告して欲しい」というものだった。2003年、当時の小泉純一郎総理は総裁選で亀井静香氏らを破り、その後の人事で若手のホープだった安倍晋三氏を党幹事長に抜擢し、総選挙に勝利した。この報告を受けて以降、岸田総理は基本戦略を修正し、解散総選挙と総裁選のどちらを先にしてもいい「両にらみ」の戦略を取る。ここから岸田総理の迷走が始まった。

 9月の内閣改造・党役員人事で岸田総理は、自らが総裁選で勝てる布石を打つことを最優先した。その人事は「内向き、保身」との批判を浴び、秋の解散も模索する中で期待していた支持率の上昇にはつながらなかった。その後、旧統一教会に対する解散命令請求、経済対策5本柱の発表とカードを切ったが、政権浮揚にはつながらず、岸田総理の目論見は完全に外れた。

 そして10月22日投開票の衆参補欠選挙で厳しい選挙情勢が伝えられる中で、岸田総理が慌てて打ち出したのが、冒頭に触れた所得税住民税の減税だった。確かに物価高に賃金上昇は追いつかず庶民の生活は苦しい。しかし、「選挙目当てのバラマキと捉えられた」(自民党幹部)減税宣言はさらなる支持率低下を呼んだ。岸田総理は、あがけばあがくほど支持率が下がる悪循環に陥ってしまったのだ。

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