打算の渦巻く「ビッグモーター」支援企業2社との駆け引き その裏で発令された驚きの「幹部昇格人事」の中身

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 スポンサー選定が大詰めを迎えるなか、会社が存続の瀬戸際に立つというのに、当のビッグモーター社内では幹部の昇格人事が乱発——。その反面、「裏切り者」と見なされた退職希望者には降格をチラつかせる“アメと鞭”が巧みに使い分けられているという。内部で進行中の笑うに笑えない「ドタバタ劇」を関係者が証言する。

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 すでにビッグモーターの支援先候補は自動車リースやレンタカー事業を手がけるオリックスと中古車販売大手「ガリバー」を運営するIDOMの2社に絞り込まれたという。

「当初は10月末までに支援先企業を決定する予定でしたが、国交省がビッグモーターの全国34店舗に併設された整備工場に対し、事業停止や指定取り消しなどの処分を実施。残る101工場についても調査中で、行政処分は今後も続く見通しです。また損害保険大手7社も同社との保険代理店委託契約を解約済みで、企業価値の算定が困難を極めているのが決定遅延の理由と伝えられます」(全国紙社会部記者)

 ビッグモーターは売上の激減による手元資金の目減りを抑えようと、先月末には東京や大阪など8都府県にある9店舗の閉鎖に追い込まれたばかりだ。

「もはや自力再建は難しく、会社や資産を支援企業に売却する形になることが有力視されていますが、支援先は入札によって決まる予定。ただし買い叩かれるのは目に見えているので、これ以上の資金流出を防ぎつつ、少しでも有利に入札を運ぶための攻防が水面下で進んでいます」(同)

 そんな事情からか、内部ではこんな“セコい”仕打ちが目撃されるようになっているという。

「辞める」といえば降格

 同社関係者が話す。

「9月以降、退職を申し出た社員に対し、“降格”を示唆するケースが複数出ています。実際、“辞める”と言った途端、課長やエリアマネージャーから一気にヒラへと落とされたケースを聞いており、一部の社員から不満の声が上がっている。というのも、普通の会社であれば、仮に降格されても給与に反映されるのは翌月分からというのが一般的で、最短で1~2か月後に退職するまで払われる給与額に大きな変動はありません。しかし社内で、退職を申し出た当月分の給与から“ダウンさせられた”と訴える社員が出てきている。“嫌がらせ”の意味合いのほか、“辞める人間にカネを出すのはもったいない”という会社の冷酷な体質をよく表わしています」

 基本的にビッグモーターの社員の給与は基本給とマージンで成り立つが、マージンの占める割合が大きく、基本給だけでは生活できない社員も少なくないという。そのため同社は7月末、「今後、半年間、歩合給(マージン)を会社が補填する」と社内に通知。営業職以外にも適用される大盤振る舞いで、社員の離職を思いとどまらせる策に出たとされる。

「これを受け、“給与が保証されている間はいたほうがオイシイ”などと考える者が増え、結果、大半の社員がそのまま残ることになった。事実、国交省による行政処分で仕事のなくなったはずの整備士などにもマージンは保証され、いまでも平均で月30~40万円程度はもらっていると聞きます」(同)

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