米国経済はソフトランディングどころか再加速モードに…それでも“急減速”の予測が根強い理由

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ホワイトハウスは「バイデノミクス」を誇るが

 足元の米国経済は猛烈な勢いで伸びている。

 米商務省が10月26日に発表した今年第3四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期に比べて4.9%増加した(年率換算)。第2四半期の2.1%増から大幅に加速し、2021年第4四半期以来約2年ぶりの高い伸びとなった。米連邦準備理事会(FRB)がインフレを伴わない成長率とみなす1.8%前後をはるかに上回るペースだ。

 主な要因は、GDPの7割を占める個人消費が第2四半期の2.1%増から4.0%増と大幅に伸びたことだ。FRBが急速な利上げを行ってきたにもかかわらず、底堅い労働市場のおかげで個人消費は衰えを見せていない。

 市場関係者からは「米国経済はソフトランディング(軟着陸)どころか、再加速のモードに移行した」との強気の見方が出ているが、米国経済は本当に盤石なのだろうか。

 ホワイトハウスはGDP発表の直後、「米国の消費者と労働者の回復力の証しであり、これを支えたのはバイデノミクスだ」と誇らしげな声明を出した。

 バイデノミクスとはバイデン大統領とエコノミクス(経済)を合わせた造語であり、「中産階級の生活向上を通じて経済を成長させる計画」と定義されている。

最も打撃を受けているのは低所得層

 経済は好調なのにバイデン政権の支持率は低迷したまま、という珍現象が生じている。

 米国の世論調査・コンサル企業ギャラップは10月26日、ジョー・バイデン大統領の支持率が、就任後最低だった今年4月と同じ37%に下落したことを発表した。イスラエルとハマスの衝突において、イスラエルに「緊密に連携しすぎている」ことが背景にあると同社は分析している。

 8月時点で同社が行った調査によれば、経済運営に対する支持率は37%にとどまっており、トランプ政権時の最低水準(45%)を下回った。

 バイデン政権の評価が低い理由について、「統計上の数字(GDP)とは対照的に一般の国民の景況感が悪化し続けているから」だと筆者は考えている。

 ギャラップの経済信頼感指数(景況感の聞き取りをもとに算出)は9月時点でマイナス39となり、新型コロナウイルス禍前のプラス41を大幅に下回った。

 最も打撃を受けているのは低所得層だ。

 米国の最下層の労働者は賃金が大幅に上昇しているものの、支出の80%を食料品などの必需品に充てざるを得ない状況となっている(10月27日付BUSINESS INSIDER)。

 米農務省によれば、昨年に食料不安を経験した米世帯の割合は前年比2.6ポイント増の12.8%に達したという。

 今年に入り「急減速する」と言われてきた米国経済は、その懸念を払拭するかのように快進撃を続けてきたが、「第4四半期以降、その予測はいよいよ的中するのではないか」との見方が強まっている。

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